2023/05/19

ピッチに倒れることがサッカー?ASローマに苦言も、モウリーニョ監督「ハードワーク」と絶賛

©︎IMAGO/RHR-Foto

 木曜日に行われたヨーロッパリーグ準決勝セカンドリーグにて、ASローマの前に敗退を喫したその直後、バイヤー・レヴァークーゼンのシャビ・アロンソ監督は悔しさを押し殺しながら、恩師ジョゼ・モウリーニョ監督とフレンドリーに抱擁を交わしていた。「ここで泣く真似などしたくない。我々には十分に得点のチャンスがあったのだ。ASローマには祝福の言葉、そして決勝での健闘を祈りたい」確かにその言葉に異論はなく、むしろそうあるべきであろう。ただそれを踏まえた上でみても、たとえ中立的な立場からみても、その悔しさは感じ取れるというものである。

 この試合のシュート総数はレヴァークーゼンの23に対して、ASローマはなんと1本のみ。ボール支配率はレヴァークーゼンの72%に対して、ASローマはわずか28%しかない。加えて「それと選手がピッチに倒れていた頻度については?」と、SNSではASローマのその戦いぶりに「本当に酷い」「サッカーは今日で終わった」など疑問を呈する声がかず多く寄せられており、ケレム・デミルバイも「バカにされているようだ。何かすればすぐに倒れ、ボールを蹴り飛ばす。これは初戦でも同じだった」と苦言。ジモン・ロルフェス競技部門取締役も、「こういうスタイルで成功を収めてしまったことは残念でならない」とし、わずか8分のロスタイムには「冗談だろと思った」と語った。

一方でASローマ側がそのことに特に負い目を感じることは、想像に難くはないだろう。しばしばピッチに倒れ、主審からう流された後に数秒かけて立ち上がっていた、主将ロレンツォ・ペッレグリーニは、「もちろん、自分たちのプレーで改善できる、改善しなければならないことはたくさんあるし、こともある」と述べつつ、「僕らの犠牲心と結束力は誰にも奪えない。レヴァークーゼンは手強いチームでポゼッションも巧みで仕掛けたかっただろうが、僕らは家族として団結して勝利を掴み取った」と胸を張り、『スペシャル・ワン』モウリーニョ監督も「敗者がそれを言い訳にするのは昔からあること。逆の立場なら彼らも同じ戦い方を選択するだろう」と一蹴する。

 むしろASローマの選手たちによる「ハードワーク、経験値、戦術的知識、こういう試合での戦い方を熟知した、その結果なんだ。素晴らしいチームだよ」と指摘し、「選手たちは常に強さを身につけていっている。それは戦術的にも精神的にも言えることだ。このような選手たちと一緒に仕事ができることは、喜びというよりもむしろ、光栄にさえ感じるね」と胸を張った。

 今回のケースを今シーズンのほかの欧州の舞台で行われた準決勝と比較した場合、ボールが実際にうごいていた時間帯でみてみると、さほど特別なケースでもないことも確かである。UEFAの発表ではこの試合ボールが動いていた時間は54分10秒であり、たとえばASローマと同じイタリア勢の対決となったCL:インテルvsACミランのセカンドレグでは、わずか49分57秒しかなく、同じくイタリア勢ECL:フィオレンティーナvsバーゼルは52分4秒と53分51秒。

 レヴァークーゼン戦より多かった試合では、CL:マンチェスター・シティとレアル・マドリードは59分08秒と58分31秒、ECL:ウェストハム・ユナイテッドとAZアルクマールでは60分04秒と65分40秒となってるが、12試合の合計平均でみれば55分50秒で、今回のレヴァークーゼンvsASローマはボールが動いていた時間だけをみれば、各準決勝の数字だけでみればそこまで大きなギャップのある試合とまではいえない。

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