2023/08/26

代理人選びの難しさ:ナディーム・アミリが立たされたキャリアの大きな分岐点

©︎IMAGO/Eibner

 いまになってナディーム・アミリは、バイヤー・レヴァークーゼンからリーズ・ユナイテッドへの移籍を、中止するという決断を下したようだ。伝えられるところでは26歳のミッドフィルダーは2日前の時点ですでにキャンセルの旨を伝えたが、その翌日には一転してイエスを出したものの、それが今では撤回されたという流れの模様。ただ今回の移籍劇がアミリ自身の業界内における評判を傷つけることは、あくまで限られた範囲でしかないだろう。むしろ兄弟で代理人も務めるナウウィド氏の評判はあまり芳しいものではなく、すでに著名なドイツ人のコンサルタント2人がアミリとの協力関係を、コミュニケーションの問題から打ち切っている。

 ただナディーム自身にとって、ことサッカー面を考えれば、現状は由々しき事態へと陥ったといえる。そもそもレヴァークーゼンではこの夏にサウサンプトンからネイサン・テラの獲得に迫っており、さらにアミーヌ・アドリの出場停止もまもなく開ける。加えてパトリック・シックが予定通り10月に戻ってくることになれば、もはやアミリの居場所は観客席にしか残されていないだろう。仮に1年戦力外となれば価値は大きく低下する。にもかかわらず今回は英国でのコンサルティング会社にも不信感を抱かせた可能性があり、移籍が迫っているといわれたマルセイユについては、その高額な年俸要求から方針を転換。ユベントスからホアキン・コレアの獲得へと舵を切った。

 確かにマルセイユとの交渉のなかで浮上したリーズ移籍話は、サラリー面でも危惧する必要のない資金力、そして名門クラブとしてプレミアリーグ昇格を目指すクラブという点でも非常に魅力的なものであり、1年後にはチームと共にプレミアの舞台に立てるチャンスも現実的にあった。サラリー面の大幅アップさえも考えられたことだろう。無論キャリアのステップアップという意味の大きさはいうまでもない。それをも反故できるというのは余りに大胆すぎる発想ではないか。それともこれに匹敵する別のオファーが他にあるのだろうか?最終的にこの移籍騒動の敗者に、アミリ本人がなってしまう可能性があるということ。いまこの事態の打開のため、彼に必要なことは早急にプロフェッショナルなアドバイザーに頼るほかない。

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