2023/09/16
2度追いつかれた主審の判断に苛立つミュラー、一方ホフマンは「あれは確実にPK」

©︎IMAGO/Michael Weber
土曜日より始まったオクトーバー・フェストに合わせて、2023年度の特別ユニフォームとして爽やかさを強調した「山の花のスケッチ模様と胸にクラブ創立憲章のエンブレムが描かれた」グリーンのユニフォームで、ブンデス第4節バイヤー・レヴァークーゼンとの幕開けを飾ったバイエルン・ミュンヘン(首もとにはエーデルワイスと小さな「Wiesn 2023」の文字。価格は100ユーロ)。特にこの試合は今季ブンデスで最も決定機を作っているレヴァークーゼン(31回)と、それに続くバイエルン(26回)による、さらに枠内シュートの数でも69本と60本というまさに最も攻撃的な両者の対決であり、とりわけダイナミックな若手ボニファス(最高時速32.21km、タッチ数49回、4得点)とろうかいな典型的点取り屋ケイン(30.94km、33回、3得点)による、プレースタイルも年齢も全く異なる今季加入のゴールゲッターの対決に注目されるなど、戦前から撃ち合いが見込まれていた。
そして実際に4得点が入る荒れた展開をみせることになるのだが、結局ポイントと分けたのは先制弾を決めたケインや無得点に終わったボニファスとの対決ではなく、むしろ二度にわたりバイエルンがレヴァークーゼンに追いつかれた場面について。まずは前半24分にアレハンドロ・グリマルドとの対人戦において、トーマス・ミュラーが互いに足を出したところ主審はミュラーのファウルを宣告。PA手前での絶好の位置でのグリマルドによるフリーキックは、見事な弧を描いてゴール左隅へと突き刺さったている。試合後DAZNとのインタビューで「どう思う?」と疑問を投げかけた同選手は、「確かにグリマルドはボールにむかってプレーしているが足裏をみせてきている」と説明。横にいた解説者のミヒャエル・バラック氏が、「グリマルドがボールに向かってプレーしていたのに対して、ミュラーの入りが遅かったこと」を指摘したが、納得はできない様子だった。
ちなみに主審のシュラーガー審判員もバラック氏と同様のポイントを挙げ、「レヴァークーゼンの選手がボールに向かってプレーし、バイエルンの選手がボールを蹴ろうと試みていたが足を下から蹴るほかなかった。それゆえこれはバイエルンの選手の反則です」というように、ミュラーは結局ボールに触れられていなかったことで誤審を言うことはできないだろう。
ホフマンと主審もファウル強調も、問題はVARの介入
さらに苛立たせたのはロスタイムのもう1つの主審のジャッジについて。アルフォンソ・デイヴィースがヨナス・ホフマンとの対人戦の末に、VAR介入の結果でレヴァークーゼン側にPKが与えられており、ミュラーは「明らかに接触は弱いものだった」とコメント。「あの場面はもう3度は見た。あの転倒の仕方をみてほしい」と先日までドイツ代表で同僚だったホフマンが自ら転びにいったとの見方を示し「クレイジー」と苛立ちを露わに。一方でトーマス・トゥヘル監督は「あれは明白なPKという訳ではなかったのだから、そもそもVAR自体が介入する必要がなかった。このトップマッチのロスタイム90+4分という状況を考慮しても、あれは十分なものとはいえない」との見解を述べ、「そもそもそれ以前には、あの程度の接触では増えを吹いていなかったのに、なぜあの場面では吹いたのだろう?」と首を傾げている。
ただホフマン自身は異なる考えのようで、「僕にとってみればこれは明らかにペナルティだよ」とDAZNに対して強調。「確かに僕は自分の体を入れて、そこで足を踏ん張ろうとした。でもそこでデイヴィースは、僕の臀部をぶつけてきたんだ。だからあれには疑問の余地などない」とダイブではなかったとしつつ、さらに「ロスタイムは本当にハイレベルな、激しい試合展開となった」と回顧。「観客にとっては素晴らしい金曜の夜になったんじゃないかな。両チームとも期待にこたえるパフォーマンスをみせたと思うし、互角の戦いで2−2という結果に不満はないだろう。互いに敬意を表して最高の試合だったといえる」と胸を張った。
シュラーガー審判員はこの場面について、「私自身はピッチで認知することができていなかったのでプレーを続行させたのですが、ただVARからの指示が入り、足とふくらはぎに非常に明確な打撃を確認することができたということで、私も実際にそれを自分の目で確認し、これは明らかにホフマン選手が打撃を受けた、デイヴィース選手によって起こされた転倒です」とこちらについても説明を行っているが、ただ前述のトゥヘル監督が指摘していた、そもそもVARが介入すべきだったのかという問題については、依然議論の余地が残る問題であることに変わりはないだろう。

©︎kicker