2023/11/03

激震ドイツ杯16強!バイエルン敗退で1部は6クラブのみ。レバークーゼンには吉兆?

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 ドイツサッカー界における国内タイトル獲得、そしてヨーロッパリーグ出場への最短ルートは、ドイツ杯にほかならない。その座を目指してブンデスリーガ1部18クラブはしのぎを削り激戦を繰り広げていくのだが、しかし2023/24シーズンは思いのほか1部のクラブたちは早々に散っていってしまった。そのなかには2連覇中であったRBライプツィヒも含まれてはいるものの、やはり衝撃をあたえたのはブンデス3部1.FCザールブリュッケンの前に屈した王者バイエルン・ミュンヘンの敗退だ。これによりブンデスリーガの16強進出クラブはわずか6クラブのみ。これは1992/93シーズン以来となる珍事である。別の言い方をするのであれば生き残ったシュトゥットガルト、ヴォルフスブルク、グラードバッハ、レヴァークーゼン、ドルトムント、フランクフルトは、優勝杯に大きく近づいたといえるだろう。ちなみにそのうち31年前にも生き残っていたのは半数にあたるレヴァークーゼン、フランク風と、ドルトムント(それ以外はブレーメン、カールスルーエ、ニュルンベルク)。ちなみにこの時にレヴァークーゼンは決勝進出を果たし、開催会場であるベルリン五輪スタジアムを本拠地とするヘルタ・ベルリンを決勝で下し唯一の国内タイトル獲得を果たしたことからも、今回の生き残りは吉兆ともいえるのかもしれない。

レヴァークーゼン、不安定さと課題露呈も勝ち抜け

 今回格下であるザントハウゼンを相手に、今季はじめて7選手という大幅な先発入れ替えを敢行したシャビ・アロンソ監督だったが、立ち上がり当初はブンデス首位に立つ姿とは程遠い脆弱性を露呈。チャンスを得たはずのインカピエもスタニシッチも制裁を欠き、シャカの代わりにプレーしたアンドリヒが「普段のようにとはいかないし、多く入れ替えればいい結果がでるというものではない」とコメント。そこで立てなおしを迫られた指揮官は、64分に今度は一気に4人を入れ替える大ナタを振るった結果、ここで起用されたシャカ、グリマルド、ヴィルツ、フリンポンらがその後のゴールラッシュに大きく寄与。無事に勝ち抜けを果たした。とはいえ60分から80分までは引き続き不安定であったことなど、やはり大ナタは特に強豪相手には使うべきではない奥の手であり、また課題であったセットプレーでも課題を露呈。「もっと集中して対人戦に臨まないと」とアロンソ監督も苦言を呈す。加えてタプソバの左手への負傷や前日に明らかとなったシックの再離脱、その上でアフリカ杯のこの冬参加するボニファスの穴埋めなど、多くの課題もみえた試合となっている。

トゥヘル監督、ケイン温存の理由は?

 それでも勝ち抜けたことでこれは1つの課題として前向きに受け止められるだろうが、そうもいかないのは「取り返しのつかないことになった」トゥヘル監督のバイエルンだ。この試合の前半からぱっとしなかったバイエルンだが、それでもミュラーの先制でリードを奪うもデ・リフトの負傷交代でキミヒが急遽センターバックへ。レヴァークーゼンと同様にリズムをさらに崩したバイエルンは、それでも前半を1−1で折り返すと後半から攻勢を展開。しかし幾度となくチャンスをつかむもツキに見放されノーゴール。挙句ロスタイム6分にザールブリュッケン最初の枠内のシュートが決勝弾という悲劇にも見舞われ敗退となってしまった。確かに64分に主力を戻したアロンソ監督と同様、当然トゥヘル監督も打開のため一時間すぎにキングスレー・コマン、セルジュ・ニャブリ、ジャマル・ムシアラを投入。ただ気になるのはなぜはハリー・ケインを温存したのだろう?「延長まで待ちたかったんだ」と、指揮官は国営放送とのインタビューで明かした。つまり最後の一枠をケインに定めつつ、同時に不測の事態にも備えるため早々にカードを切ることができなかった。その結果が、ケイン温存での敗退とい事態を招いたのだ。

バイエルン、不安定さと課題露呈し「取り返しつかない」敗退

 トゥヘル監督が3部という格下相手にギャンブルをしたという見方もある。だが度重なる負傷離脱、そして過密日程の中でのローテーション、そしてデ・リフトの負傷交代など、相当にやりくりを強いられていたこともまた事実だ。つまりここで見え隠れしてくるのは、へーネス名誉会長の発言でも話題である今夏に行ったチームづくりの過ちである。ドイツ杯初戦ではゴレツカとマズラウイのよる急造CBを強いられたように、当初からCBの層の薄さは指摘され、この日もキミヒがスライドする事態となった。いまだウパメカノの復帰の目処すら立たない状態でドルトムントとの頂上決戦にトゥヘル監督は臨まなくてはならないのである。そういった苦心はある程度理解できるもので、トゥヘル監督も嘆きたいところもあるのかもしれないが、ただ問題は決してそこにとどまるものでもないだろう。依然ディフェンス面での酷い脆弱性を解消しきれていない、特に土壇場で3部のスローイングから崩された場面はまさに象徴的だ。

フロイントSD、ドルトムント戦は「まるで別の試合」

 フロイントSDは「本当にひどい前半で、あってはならないほど。そうなればああゆう展開になる。アグレッシブさ、勇気がなかったからだ」と前半について述べ、後半は「プレスを仕掛け精力的にプレーしたのだが」と肩を落とし、ドルトムント戦は「全く違う試合になる」と予想。「大きな失望」と「腹立たしさ」を胸に、「自分達の責任。残念ながら目標の1つの失った」と述べているが、立て直していく上でブンデスリーガ12連覇、CLでの再飛躍へと目を向けなくてはならない。ただそのためにはこれから年内いっぱいまでの戦い、そして今季最後のチャンスとなるこの冬の移籍市場での修正で結果を残さなくてはならないだろう。
 

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