2022/08/31

ナーゲルスマン監督が得た昨季の教訓「量子力学ではなくサッカーなんだ」

©︎IMAGO/ActionPictures

 バイエルン・ミュンヘンでブンデスリーガ「のみ」手にした人たちは、それからもしばしばそれはネタとしてあがってくるものである。先日のVfLヴォルフスブルク戦前、バイエルン前指揮官ニコ・コヴァチ監督について問われたユリアン・ナーゲルスマン監督は、「彼は間違いなく私よりも、バイエルンでの最初のシーズンで多くタイトルを獲得した」と自嘲気味に返答。その場にいたジャーナリストたちの笑いを誘うものだったが、しかしこれは決してジョークにとどまるものではないのだ。昨シーズンでは後半戦での不振から、チャンピオンズリーグではビジャレアルの前に敗退を喫するなど、チームは徐々に創造力を欠いたプレーを露呈することに。選手たちからは特に、練習における過度な要求への不満の声があがり、特に青年指揮官は多くのことを求め、システムを頻繁に変更し、そして早口で捲し立てていたという。

 そんな失敗の1年から35歳のナーゲルスマン監督は、たとえばこの夏のレヴァンドフスキやハリー・ケインに見られた逆風時におけるコメントを避けるようにしたり、トレーニングでは対戦相手のことよりも自分たち自身に集中していくことなど、その教訓として活かしていくことを心掛けている。さらに練習では今年はシステムを基本2つに集中させており、先日の会見で「選手たちはここ数年、それに慣れ親しんでいた」と語る4−2−3−1システムもその1つ。2020年にフリック監督下で6冠を達成したシステムなのだが、今思えばナーゲルスマン監督には、注目度の極めて高いバイエルンでの初シーズンということで、若干の気負いがあったのかもしれない。

 現在ではよりピッチ上で選手の声に耳を傾け、そして慣れ親しんだパターンへと戻していくことがテーマとなる。「選手それぞれにおける流れがより明確になったということだよ」と説明したナーゲルスマン監督は、「昨年が不明確だったというわけではないのだが、ただ今よりももっと選手に負担がかかってしまっていたのかもしれない」とコメント。「リーダーシップという点では理解した選手たちに譲るようになったことで、比較的早くうまくいくようになった」と語るように、リーグ戦開幕から16得点というのは、レヴァンドフスキ移籍後としてみても非常に良い結果だ。「サッカーはあくまで選手のためのゲームであり、だから選手がその手綱を握らなくてはならないものだよ」

 監督の教えが選手たちに浸透して良い、そしてその結果が伴ってくるならば、全てがより調和性を増していき、より一体感が生まれてくることだろう。共に学び、共に成長していく。「昨年はもっとうまくやれたことがあったはずなんだ」と強調したナーゲルスマン監督。だがこれが指すところは自身のことではなく、あくまで選手に対してのものである。「全てを理解できていたわけではなかった」と言葉を続けたナーゲルスマン監督は、「量子力学をやっているのではなく、あくまで我々はサッカーをしているのだ。選手たちの確信をより増していくよう、少し分解していったり、減らしていったりしているということだよ」と自身の考えについて表現した。

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