2022/09/01

「1億ユーロなんか出せない」バイエルンが欧州の覇権争い、その”価値を上げ続ける”戦略とは

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 まだ移籍市場は閉幕を迎えていないにも関わらず、バイエルン・ミュンヘンでは既に前向きな結論が導き出されている。「今回の移籍は我々にとって非常にうまくいったと思うね」とヘルベルト・ハイナー会長は述べており、「それぞれのポジションにおいて、望んでいた選手を獲得できただけでなく、将来性のあるチームにもなった。構成、年齢層、組み合わせという点でうまくマッチされている」と語った。

 つまりバイエルンの主力選手における年齢構成をみてみると30代を超えた選手はミュラー、マネ、そしてノイアー。その5才下の世代組がコマン、ニャブリ、ゴレツカ、キミヒ、エルナンデスらが最大派閥を形成しつつ、さらにその5才下の世代においても既にA代表でプレーするデイヴィース、ムシアラ、そしてこの夏に獲得したデ・リフトやグラフェンベルフらが、それぞれのポジションで配分され控えているところ。加えてGKにおいてもASモナコにレンタル中のニューベルについて「将来の構想にある」とサリハミジッチ氏は述べている。

 改めて獲得方針について、ハサン・サリハミジッチ競技部門取締役は「チャンピオンズリーグで優勝できるだけの力をもつだけでなく、伸び代をもった選手、チームの価値を高められる選手を迎え入れたい」と説明。それではこの夏に退団した選手たちについてはどうか?2020年に将来を嘱望され加入したタンギー・クアッシはこの夏、セビージャへと渡った。だがフリーでパリSGより獲得していたバイエルンは移籍金2000万ユーロを手にしたのみならず、「この世代でトップDFの1人」を6000万ユーロで買い戻し可能なオプションさえ保険としてかけている。

 それ以外にもオマー・リチャーズやジョシュア・ザークツィーらの売却も含めて、最終的にバイエルンは4000万〜5000万ユーロという経済的な利益を得た事にクラブ首脳陣は満足しており、つまりは財政的観点から選手たちはクラブの価値を増したとも表現できるだろう。特にバイエルンというクラブでは欧州の頂点を争うチームづくりながら、「1億ユーロも支払いたくはないし、実際に払うこともできない」と語るように、過去最高金額の買取金額でも8000万ユーロ(エルナンデス)。今夏のデ・リフト(6700万ユーロ)とサネ(6000万ユーロ)がこれに続くが、それ以降は5000万ユーロを下回る投資しか行ってはいない。「だから我々は未来への賭けも行なっていく。もしも例年通りに「優れた才能」を獲得できれば、国際的トッププレーヤーに育つ可能性は非常に高いんだ」とサリハミジッチ氏は説明。

 とりわけ最近では若手選手に対して高額な投資が見受けられており、この夏「中盤で最も素晴らしい才能の1人」とサリハミジッチ氏が絶賛する、ライアン・グラフェンベルフに1850万ユーロ。またプロでの実績のないもののナーゲルスマン監督が「将来シーズン40得点」の期待もかけたという、17才マティス・テルにも2000万ユーロを投資。そして例えばMLSにとっては破格の1000万ユーロで加入したデイヴィース、2019年に16才でチェルシーから加入したムシアラは共に、いまや「市場価値はx倍だ」とハイナー氏が目を細める価値の向上をみせており、新加入のティーンエイジャーの今後にも大いに期待したい。

 「この年齢構成は、”スーパー”だね。」とみるハイナー会長は、「この構成で今後数年間、共にプレーし続けていける若いチームを作り上げることができたのだ。たとえいくつかの調整はあるとしても、その骨組みはしっかりとできている」と胸を張るように、価値が向上し続けていくための継続性もまた、バイエルン・ミュンヘンが掲げる戦略であり、これからもそういったポイントに注目しながら欧州における覇権争いの展開を見守っていきたい。なにせバイエルンに控える若手選手はそれだけにとどまらないのだ。すでに更にその下の世代に控える前述のマティス・テル、今夏に武者修行に出たガブリエル・ヴィドヴィッチ、そしてパウル・ヴァナーらの成長曲線にも目が離せない。

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