2023/02/02
手負いの王者バイエルン、珍しい冬の積極補強で打開なるか

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普段であればバイエルン・ミュンヘンは冬季移籍市場において、非常に慎重な動きをみせるクラブだ。しかしそれでも離脱者が相次いだことを受け止めを得ず、急遽対応を余儀なくされた背景もあり初めて3人の補強を敢行している。
まず1人目はアヤックス・アムステルダムとの契約を満了し、1月5日にフリーで獲得したデイリー・ブリント。リュカ・エルナンデスがカタール・ワールドカップ参加中に十字靭帯を断裂、残りシーズンを棒に振ることになったために、同じ左サイドバックとセンターバックで守ることができるディフェンダーに白羽の矢がたったのだ。
さらにリーグ戦再開直前には、同じく年末にこちらは足に骨折を負ったため残りシーズンを棒に振ることになった、マヌエル・ノイアーの代役としてボルシア・メンヒェングラードバッハから、ヤン・ゾマーを獲得。移籍金額は850万ユーロで、2025年までの契約を締結した。
これだけにとどまらない。ノゼア・マズラウもワールドカップ参加中にコロナに感染、その後に心筋炎を発症したため長期離脱となっていたところ、突如として週末にマンチェスター・シティから、ジョアン・カンセロ獲得のチャンスが到来。最近出場機会を失いつつあった28才は、7000万ユーロでの買い取りオプション込みで、半年のレンタルで加入している。
バイエルンの守備陣はこれにより、攻撃的な両サイドバックにデイヴィースとカンセロという強力なコンビに加え、守備的なサイドバックとセンターバックの両役にブリントとパヴァールを配置。これでCBはウパメカノとデ・リフト含め4人体制だ。確かに来季にはパヴァールは退団の流れにあるものの、ライプツィヒよりコンラッド・ライマー加入の見込みであり、加えてエルナンデスとマズラウイも復調を果たす。
3人の獲得で全て問題が解決されたのだろうか?特にカンセロの獲得により課題であった攻撃面でのテコ入れにも期待がかかるが、それと同時にナーゲルスマン監督はカンセロに合わせたスタイルへと調整しなくてはならない。あとは見てのお楽しみだ。ちなみにバイエルンは2016年から2022年の間に冬の移籍市場で獲得した選手は4人のみ。
そのうちセルダー・タスキとアルバロ・オドリオソラについてはあまり活躍をみせられなかったものの、2018年に加入したサンドロ・ワグナーについては、レヴァンドフスキのバックアップとしての役割を果たした。またデイヴィースは2019年冬加入であるものの、実は獲得は夏のこと。
サリハミジッチSD、ナーゲルスマン監督を信頼。ニャブリとは「解決済み」
一方でバイエルンでは年明けからリーグ戦3試合連続ドロー発進となっており、さらにこの状況が続くのであれば、ナーゲルスマン監督の立場自体も危ういものとなるだろう。水曜夜のドイツ杯16強前に、サリハミジッチSDは緊張感には「全く包まれていない」とし、特にナーゲルスマン監督自身が「チームに対して非常に明確である」と評価。無論「我々全員が重圧を感じている」ところではあるものの、「ユリアンはこの1年半でその対応を身につけている。いろんな経験もしたから」と信頼を置く。
とりわけ前述の成績不振や主力選手の離脱が続いたこと、タパロヴィッチGKコーチ退任問題に加え、セルゲ・ニャブリが余暇を利用してパリのファッションウィークに参加したことも物議を醸した。その行動を「アマチュアだ」と糾弾していた同SDは、「彼と話し合い彼も受け入れ、翌日には解決済みだ」と強調。ハーフタイムで交代した事とは無関係であるとしている。
そして「我々にオフの日があり、そして試合に勝てない日が続いているのであれば、どうやってよくなるかということのために取り組まなくてはいけない。それはパリのファッションショーにいくことではないだろう」と述べながら、「バイエルンは常にこういう状況も乗り越えてきたんだ」と胸を張った。