2023/02/15

クレバーなバイエルンの勝利に、カーン代表「まるでチェス」

©︎IMAGO/kolbert-press

 火曜夜に行われたパリ・サンジェルマン戦後、バイエルン・ミュンヘンのユリアン・ナーゲルスマン監督は改めて、分刻みでチャンピオンズリーグ16強1stレグでの勝利について振り返った。「立ち上がりから25分ほどは本当に良かったし、ハーフタイム後の20分間も良かった」と、Amazonプライムに対してチームへの評価を述べた指揮官だったが、「ただもっとゴールに向かってまっすぐにプレーし、もっと創造性を持ったプレーができたとは思う」ともコメント。実際にこの日のアウェイ戦では予想外に試合を支配する形で推移しており、「自分たちがあれほどまでに相手が受け身に構えて、ボールを奪おうとしていないことには驚いた」と認めている。しかしながら負傷から戻ってきたばかりのキリアン・エムバペの投入からは、改めてパリの力を思い知ることになったバイエルンは、幾度となく肝を冷やす思いを味合わされることに。「彼らのオフェンスは高いスピードがある。何もそれは今に始まった事ではない」とナーゲルスマン監督。「決して楽な相手のはずがない。だから後半は紙一重の試合展開となった」と言葉を続けた。

 ただそれを睨んでのハーフタイムでの立ち上がりが、結果的には試合を決定づけることになる。「いつになく深追していた」ジョアン・カンセロから、「ジョアンよりさらに時速3キロ速い」アルフォンソ・デイヴィースと入れ替え、そして「パリSGはよくボールから離れて守ることがあった。だからファーポストで数的優位を作り出せる」という狙いが的中し、投入からわずか7分後に早速デイヴィースが自慢の快速を飛ばすと、ベースライン付近から供給したクロスを比較的フリーとなっていたキングスレイ・コマンが古巣相手に貴重な先制弾。結果的にこれが決勝弾にもなりバイエルンが貴重な勝利を手にした。ただ無論この現状を過大評価する用意はナーゲルスマン監督にはなく、それでも次戦に向けての戦術面を考慮した場合に「パリ側がより積極的に行く必要があるというのは、自分たちにとっては1つのカードとはなるさ」とメリット面について説明。

パヴァール退場、コマン負傷交代

 しかしそのセカンドレグに向け、1つの不安材料も。試合終了直前にベンジャマン・パヴァールがメッシへのファウルで退場処分にとなり、そのため次節では欠場を余儀なくされてしまったのだ。「あれはよくない。とりわけベンジーはあれほど卓越したパフォーマンスをみせていたのだ」とその「ファンタスティック」なプレーを賞賛するように、それまでの試合の大半ではそこまで迫られる場面はみられず2度のシュートブロックもみせていたのだが、ただ「メッシがスピードに乗ったあの場面では難しかった」と惜しむ指揮官。加えてコマンも後半途中に交代を余儀なくされ、今後も不安視されてはいたのだが、「ふくらはぎに少し問題があったようだ。足首に打撃を受けてね」と説明。「離脱は想定していない。そこまで大事には至っていないと思う」との見方を示している。

カーン代表「チェスを連想した」

 一方のオリヴァー・カーン代表も明らかな優勢から勝利を手にした選手たちのパフォーマンスに賛辞を送っており、「ちょっとチェスを連想していたよ。非常に戦術的な、巧みなプレーを見せていたね」と評価。「ネイマールやメッシらトップスターに対しても、パスコースをうまく塞いで勢いづかせていなかった」と述べており、むしろバイエルンが深くかまえる相手にリスクを避ける見方もできるが前向きに「スピードあるカウンターを武器にもち、卓越した決定力を誇るチームなのだよ。ゲームコントロールに集中することは当然理に適ったものさ」と擁護した。「こういう試合では100分の1秒の判断が勝敗を決するものだ。ミリ単位のわずかなミスであっても命取りとなるよ。これを乗り越えるにはまさに、このようなパフォーマンスが求められるものだ。このレベルの戦いでは初戦で大勢が決するということはないが、次の試合に向けてうまく準備を整えることができたとは言えるだろう」

ゴレツカとキミヒ「これからが勝負」

 改めてレオン・ゴレツカは終盤でツキがあったことを意識しつつも、「あまりパリ側から来ていなかったという表現もできるだろうし、逆に自分たちが良く守れていたからという表現もできると思う」と総括。「ロスト後のたいての場面では半へきの芽を摘み、そういう状況を起こさせなかったことは評価に値する」と話すように、実際この日に採用した3バックはほぼ安定感を失うことはなかった。ただ明るい雰囲気に包まれた試合後のバイエルンではあるものの、前述のパヴァールの出場停止など「まだタフな試合が待っている。エムバペが入ると、さらに厚みが増して守備はより複雑になるんだ」とジョシュア・キミヒ。ゴレツカも「その覚悟はしている」とゴレツカも同調する。

 これからはまず、ようやく結果もついてくるようになってきたリーグ戦での戦いで、このようなパフォーマンスを継続し続けていくことが課題だ。「我々のもつチームとしてのポテンシャル、キーワードとなる継続性という点ではこの試合で見受けられていた」とカーン代表も期待。2位ウニオン・ベルリンとは勝ち点差1、そして宿敵ボルシア・ドルトムントとは勝ち点差3という中で、難敵ボルシア・メンヒェングラードバッハ戦を迎える前にキミヒも「これからボルシア・メンヒェングラードバッハに向かって、そこでつまづきを見せるんじゃないかと見る声もあることだろう。でも僕たちとしては絶対にそんなことはさせたくはない」と気を引き締めていた。

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