2023/03/21
バイエルン:CLでは強豪撃破も、レヴァークーゼン戦で改めて見せた脆弱性

©︎IMAGO/Uwe Kraft
週末に行われたバイヤー・レヴァークーゼン戦はバイエルン・ミュンヘンにとって、いかに今シーズンが脆弱であるかを改めて証明する試合展開となった。開始から45分間は決して良かったとは言えないパフォーマンスながらもリードを奪い、通常ならばそこから後半は2点、3点と追加点を奪っていくものではあるのだがビルドアップでスペースを与えすぎ、オフェンスでも一貫性に欠けて不必要な個人的ミスによる失点で逆転負け。再び首位の座を明け渡す結果を招いている。事実それは失点数という形でも表れており、25試合が経過して27失点というのは明らかに多すぎる数字。だが奇妙なことに今シーズンのバイエルンはことチャンピオンズリーグにおいて、バルセロナやインテルとの厳しいGLを圧倒して首位突破。さらに16強でもパリ・サンジェルマン相手に2試合連続無失点で連勝を収めているのだ・・・。10連覇ということで緊張感が欠けているのか。敗北のたびに監督への疑問の声があがってくるが、それでも今回の試合でリードしているにもかかわらずハーフタイムで三人交代したことは十分理解できるものであったろう。サネやニャブリらはしばしばベンチから見守るだけで、マネは長期離脱の後が色濃く、前倒しで復帰したムシアラは筋損傷を抱えて代表不参加。ミュラーやカンセロも期待に応えきれず、シュポ=モティングのようなCFが不在となっただけでバイエルンのプレーは特別なものを失ってしまう。背中の問題でカメルーン代表参加も見合わせた同選手は、同じくドイツ代表を辞退したムシアラと共に、4月1日のドルトムントとのドイツ頂上決戦での出場も未定となったまま。ただとりわけCLマンチェスター・シティ戦を意識するならば、たとえこのような試合であってもリスクは決しておかせない。
サリハミジッチSD「バイエルンらしからぬ戦いぶり」
それでもナーゲルスマン監督は、前半について「自分たちであらゆる手を尽くして多くプレスを仕掛けていき、精力的なランもみせていた」ものの「パワー不足」があまりの多く見られたことが課題となったと指摘。基本的に「ここ数週間は、私かに我々は良いステップを踏んできている」ものの、その「気迫と質のこもったプレー」がみられたのはむしろ試合終盤のみのとどまった。しかもそれも相手GKフラデツキーの前に阻まれており、試合を通じて「3つ4つとパスがつながるような局面がほとんどなかったね」とビルドアップの問題点や「0%の選手さえいた」という対人戦勝率の低さについてもあげつつ、「とにかく良くないプレーをみせてしまったし、敗戦は見合ったものだ」と総括している。サリハミジッチSDも「バイエルンらしからぬものだ。全てが不足しており、木曜日に試合をしていたチームを相手に蹂躙されてしまった。これほどまでに意欲に欠けメンタリティが不足し、対人戦も存在感もものたりないというのはほぼ目にしたことさえない」と苦言。本来あるべきブンデスリーガ首位の座から再び陥落して迎えた今回の代表戦期間では、ドイツ代表から外れた多くの主力選手たちとともに代表戦明け直後のドルトムント戦で再奪還を果たしたいところ。「ここで是が非でも勝利をおさめなければ、優勝は難しくなってしまうことだろう」と奮起を促した。
ハイナー会長は指揮官支持と、欧州サッカー界の困難さを強調
一方でレヴァークーゼン戦前にキッカー本社を訪れた、バイエルンのヘルベルト・ハイナー会長は、改めてユリアン・ナーゲルスマン監督への支持を強調。「ユリアンは長い道のりを歩いてきた。彼はトップコーチの1人であり、それはパリ・サンジェルマン戦でも欧州最高峰の舞台で、戦術的にも戦略的にもいかに優れているか実証している。」と述べつつ、「彼とともに大きな結果を手にしたい。そう思うから5年契約を締結しているのだ。そしてこの1年半の間で明らかな進展が見られており、ユリアンは本当によくなってくれていると思うよ。監督の進退問題など、外だけで話されていることであって、クラブ内では始められてなどいない」とコメント。そして「バイエルンは持続性を持ったエネルギー体であり、何十年もかけて内部から膨大なパワーを生み出しながら、最高レベルの挑戦を歩み続けている。そこでは決して満足感など得ることなく、自分たち自身を常に進化させてきた」と胸をはりながら、とりわけ莫大な資金が流れ込む欧州サッカー界において如何に困難なものであるかを強調。最後に2024年からファイナンシャル・フェアプレーに代わり導入されるファイナンシャル・サスティナビリティへの期待感を示した。「この新しい規制が成功するかどうか、そこではいかに強力な制裁が課されることになるかによるだろうね。大会除外に至るまであらゆる可能性が考えられるはずだ」