2023/03/24

金銭、AC、サリハミジッチSD:ナーゲルスマン監督解任が意味するところ

©︎IMAGO/MIS

 これまでバイエルン・ミュンヘンではユリアン・ナーゲルスマン監督について、少なくともビジャレアルに当然のごとく敗戦したチャンピオンズリーグ後から、1年以上にわたり幾度となく議論され続けてきた。果たして将来が嘱望された35歳の指揮官は、いまもなおバイエルンに適した人材だといえるのだろうか?自問自答するクラブ首脳陣があくまで、ナーゲルスマン監督とともに新時代を構築することを繰り返し強調した背景は、おそらく移籍金2000万ユーロ(成果に応じて2500万ユーロ)、そして年俸1000万ユーロという巨額の投資を成就させなくてはならないという重圧もあってのことだろう。

 ただそれでもその希望もいつの日か失われていき、そして眼前には10年連続で続けてきたブンデス連覇が危機的状況へとさらされており、当然のことながらこの流れは無論、ハサン・サリハミジッチ競技部門取締役にも疑問を投げかけるものである。ニコ・コヴァチ監督解任からバイエルンを建て直し、見事三冠達成にまで導いたハンジ・フリック監督を、自身との不和によって退任という事態にまで追い込み(ドイツ代表監督就任)、前述に指摘した大金を注ぎ込んでまで招聘したのがユリアン・ナーゲルスマン監督なのだ。当時はこのような結果を招くことなど考えも及ばなかったのだろう。実際に解任報道から夜22時前になってもナーゲルスマン監督には連絡の1つすらなく、また翌日朝になってもACたちには何ら連絡さえ届いていないというのは、あまりに象徴的な光景だといえないだろうか。

 確かに 総じて見てナーゲルスマン監督の解任という決断は理解できるものだ。しかしわずか数日前にヘルベルト・ハイナー会長が「ナーゲルスマン監督は長期的なプロジェクトだ」と明言したばかりという点を顧みても、決してクラブ首脳陣の手腕を評価する行動とはいえるものではない。無論厳しい目は当然ながら前述のサリハミジッチ氏にも向けられる。通常であれば最終的なシーズン終了後の成績いかんによって、その批判の範囲というのも限られるようになるものだが、しかしながら今回のナーゲルスマン監督への判断は別物だ。競技部門の責任者として、サリハミジッチ氏が明確な答えを示す必要に迫られている。

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