2023/03/25
トゥヘル監督に始まりトゥヘル監督で一時停止:ナーゲルスマン監督が歩んできた道

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2015/2016シーズンよりブンデスリーガの舞台で指揮をとってきた、ユリアン・ナーゲルスマン監督のバイエルン・ミュンヘン解任までの軌跡を、改めて振り返っていこう。
ナーゲルスマン氏が指導者の道を本格的に歩み始めたのは、若干20歳のとき。その才能は評価されながらも膝の問題に悩まされていたセンターバックは、2007年夏に1860ミュンヘンからFCアウグスブルクIIに復帰するも、わずか1シーズンをもって引退。しかしながらその指導者としての才覚も見出し、その後スカウトの道を歩むよう背中を押した人物の1人が、そのセカンドチームで監督を務め、自身も現役時代にはセンターバックとして下部チームを主戦場とた、24歳で指導者の道を歩んでいるトーマス・トゥヘル監督である。そう、奇しくも今回バイエルンで後継者となる人物だ。
それから1年後にナーゲルスマン氏は古巣1860ミュンヘンへU17のACとして復帰すると、さらにその1年後には後に大きな飛躍を遂げることになる、TSGホッフェンハイムのU17のACに就任。翌年には監督へと昇格し、半年が経過したころに降格の危機に瀕していたトップチームのACを務め、それから就任したU19では監督として国内制覇。2016年2月に再び降格の危機に瀕したトップチームへと急遽、今度は監督として28歳という若さで就任。当時17位と自動降格圏内にあったチームを見事に立て直し、リーグ戦14試合で7勝2分5敗をマークすると、なんとその翌年にはチャンピオンズリーグ出場権獲得という快挙も達成。次のシーズンでも3位でフィニッシュし大いに他クラブからも注目を集め、あと1年をもってライプツィヒへと移籍することを発表。しかしながら最後のシーズンは9位と置き土産を残すまでには至らなかった。
ただRBライプツィヒ移籍後は再び快進撃が続き、リーグ戦では18勝12分4敗、平均勝ち点数1.94という好成績をおさめたのみならず、チャンピオンズリーグでは準決勝進出という快挙をこちらでも達成。さらに翌シーズンではRBライプツィヒをリーグ戦2位へと導き、さらにドイツ杯では決勝まで進出してドルトムントに敗戦。名実ともにライプツィヒを『ドイツ2番手』の地位まで押し上げてみせる。その結果、子供の頃から夢見ていたバイエルン・ミュンヘンへと、わずか33歳で就任。そこでブンデスリーガ優勝を果たすことになるのだが、ただ同時にCLビジャレアル戦での敗退や、ドイツ杯でグラードバッハ相手に喫した歴史的大敗など、大きな疑問を残すことに。その不安は2シーズン目でも年明けから顕著にみられ、後半戦だけの順位表でみればドルトムント、ウニオン、そして先週末に首位陥落を喫したレヴァークーゼンに次ぐ4位。契約をまだ3年以上残しながら、ミュンヘンを後にすることが発表されている。