2023/03/27
ナーゲルスマン監督とノイアー、ミュラー、そしてキミヒの関係性

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監督交代劇が起こった後のSNSによる発言には、注意して耳を傾ける必要がある。それはたいてい選手自身ではなくマネジメントが行うということがしばしばであり、その裏には戦略的な思惑が見え隠れするケースも少なくない。さらにいえば特に発言を控えることの方がむしろ多いとさえいえる。例えば今回のユリアン・ナーゲルスマン監督の解任にあたっては、主将マヌエル・ノイアー、そして副主将トーマス・ミュラーがそれに該当し、日曜午後となってもコメントを寄せることはなかった。無理も無い。年明けにはノイアーと親密な関係にあったトニ・タパロヴィッチGKコーチの解任にノイアー自身が批判を公言、そしてその解任の裏にはナーゲルスマン監督の意向もあったと伝えられており、ミュラーについても決してそこまで支持していたわけではないと見られている。
残るは第3主将の立場にあるジョシュア・キミヒであり、ただ28歳のドイツ代表MFについては前述2人と異なってむしろ、ナーゲルスマン監督にとっての最初のコンタクトパーソンという立場を築いていた。クリスマスでは共に過ごすなど非常に良好で、解任が発表された直後のペルー代表戦では、「指摘されているような、ロッカールームでの亀裂など生じていなかった。僕たちはみんな、今回の解任に驚いている」と強調。ただこれは決してチーム全体を代弁したものではなく、キミヒ1人とまではいわなくとも一部の意見でしかないだろう。スキーでの事故や南ドイツ新聞でのインタビューなどが理由で、ノイアーの後任主将候補としてキミヒの名前が繰り返し浮上していたことにも、ノイアーやミュラーらは苛立ちを覚えていたようだ。果たしてトーマス・トゥヘル新監督は、どのようなヒエラルキーを構築していくのだろうか。それは初陣となるドルトムント戦から見て取れるかもしれない。