2023/04/03
定位置確保に苦しむマネやカンセロは「不慣れな状況に身を置いている」

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トーマス・トゥヘル監督はその初陣となったボルシア・ドルトムントにおいて、前任者であるユリアン・ナーゲルスマン監督が選択した先発メンバーから、わずか2つのポジションのみの入れ替えを行った。そのうちの1つがサディオ・マネであり、それまで2試合続けて先発出場していたセネガル代表は、この日は後半途中からの投入となっている。
昨夏になり物入りでバイエルンに加入するも、シーズンの4分の3が経過した今もなおバイエルンでの居場所を模索しつづける同選手について、オリヴァー・カーン代表はリヴァプール時代との違いについてスカイに対して指摘。「我々のウィングにおける定位置争いは非常に熾烈であり、これは彼にとっては不慣れな状況だと思う。リヴァプールではここまでのレベルではなかったはずだ」
そこでマネは中央での定位置争いにも臨んでいるが、「そこでシュポ=モティングが非常に良いパフォーマンスをみせ、ゴールを量産してきた。」とカーン氏は説明。トゥヘル監督の今回の選択は実際にそのシュポ=モティングとなっていた。「それが現状ということ。このチームの全員にあてはまることだが、彼もまた競争の中に身を置いているのだ。こういった状況自体が彼にとっては不慣れな経験だと思う」
そして「多くのことに対処しなくてはならない」マネに対して、クラブからは「我々はもとより監督からも、あらゆるサポートをうけているんだ」と強調。これまで28試合に出場して10得点6アシストをマークするなかで、「彼のブレイクを期待しているよ。リヴァプールで示していたその実力、クオリティをきっとすぐに我々にもみせつけてくれることだろう」と期待感を示している。
ムシアラは「日々見極めていきながら」
またドルトムント戦で同じく後半途中から出場したのが、ジャマル・ムシアラだ。ただこちらは大腿の腫れを考慮して大事をとったもので、まだしばらくは先発候補にはならない。トゥヘル監督は「今は出場時間を増加していくということ」と説明。まだ具体的なプランは明かしていないが、それはムシアラがプレーするポジションについても同様のようだ。
「PA内の近くであれば彼はなんでもできる。技術面以外にもあらゆるものを兼ね備えており、見ていて楽しい選手だ。とても勤勉でいいシュート力をもち、その長い足を活かしてボールも奪い去る。だからCMF、トップ下、あるいはウィングでもいけるのさ。いろんな可能性があり、まだ少し時間は必要だよ」
いずれにせよバイエルンでは過密日程ということで「レギュラーメンバー固定で臨めるはずもない」もので、ただ一方で就任間もないトゥヘル監督としては早々選手の入れ替えも控えたいところ。「今は自分たちといものを見出そうとしている」最中であると同時に、タイトルレースの重要な局面にもある。「更なる発展のためには達成感が必要」で、そのためには骨格・軸が求められるだろう。
ヌゼア・マズラウイ以外は全員がオプションということで、風邪を患っていたシュポ=モティングも「明日午前は練習参加がみめるというのが医師の見解」。その中でトゥヘル監督としては「成果主義」を貫き、「誰が次の試合で自信を得るかを大切に」見極めながら、選手の大幅な「循環」ではなく、全ての選手に与えられるチャンスを手にした選手たちは死守していくという「循環」を生み出していきたい。
トゥヘル監督、パヴァールとカンセロを称賛
例えば右SBに目を向けてみよう。ドルトムント戦は4バックの右SBとして出場したベンジャマン・パヴァールは「すぐに私の期待に応えてくれた」とトゥヘル監督は賛辞を惜しまない。契約は来季までで移籍の可能性も残留の可能性も指摘されてきたが、延長交渉は近い将来に継続される予定で「過小評価されるところがあるが、彼は極めて高いレベルに適応し、決定力も発揮する選手。」とトゥヘル監督。
そうなると今夏に買い取りオプションの判断が迫られるジョアン・カンセロの立場は?「彼はトップクラスの個のクオリティをもった選手」であり「巧みに両足をつかって ゲーム理解度も高い」とこちらも絶賛。「非常に優れた選手」でクロスやボレーにいいものがあり、さらにダブルボランチの一角としてもプレー可能。「彼がここにいるのが本当に嬉しい。素晴らしい冬の補強だ!」と語る。
ではなぜ出場時間がそれに反映されていないのか?それはカーン代表がマネについて語ったのと同様の見解であり、「さまざまな変化があったから」とトゥヘル監督。「練習での強度が違う、言葉も違う、チームメイトも違う。それがうまくいけばと常に望んではいるが、最初うまくいったと思っても突然厳しくなったりもする。珍しいことでもなんでもないし、それで評価が変わるものでもない。きっと彼の力をすぐに必要とするときがくる」」と期待した。