2023/04/12

独誌キッカー解説:トゥヘル・プロジェクトは、あくまで来シーズンから

©︎AFP via Getty Images

 先日にユリアン・ナーゲルスマン監督が更迭され、そしてトーマス・トゥヘル監督が招聘された理由。それはバイエルン・ミュンヘンからみて、今シーズンの目標達成が切実な危機に瀕しているとみられたためであり、オリヴァー・カーン代表曰く「来シーズンの目標さえも危うい」と感じたからだ。つまり『トーマス・トゥヘル』プロジェクトは夏から始まるということ。1年半にわたって不安定となってしまったチームを引き継いでも、マンチェスター・シティを相手に0−3という結果からもみてとれるように、トゥヘル監督に奇跡をおこす手立てなどないようだ。確かにまだ結論を出すには早すぎるかもしれないが、いずれにせよこの点差をひっくり返すことは至難の業であることに変わりはない。

 いや奇跡を起こしてみせる?そのために最低でも3点を奪える選手は誰だろうか?今回の試合ではリロイ・サネによるロングシュート以外、バイエルンでは特筆すべきアクセントは見受けられていない。バイエルン首脳陣はこれまでレヴァンドフスキのバックアップを務めたエリック=マキシム・シュポ=モティングさえいれば、他の選手たちによってその穴をカバーし切れると判断してしまった。それがあまりにも短絡的であったことは、今となってより一層に切実に実感していることだろう。昨夏に補強の目玉として加入したはずのサディオ・マネは79分間もベンチに。ノイアーの穴埋めとして急遽加入したゾマーも、身長で大きく差のあるノイアーの大きな穴を完璧に埋められるわけではないことを示している。

 いずれにしてもトーマス・トゥヘル監督としては、今は既存の選手たちと向き合いながら対処するほかなく、これからはリーグ戦でのタイトル獲得へと集中していく必要があるだろう。とにかくバイエルンにおいてタイトル獲得は是が非でも果たさなくてはならないいタスクだ。それをトゥヘル監督自身もよく知っている。それを果たせば晴れて夏となり、トゥヘル監督とバイエルン首脳陣は改めて、指揮官の意向に沿う形でのチームづくりを行うことができるはずだ。

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