2023/04/20

独誌キッカー解説:2018年から始まったバイエルンの凋落とそれを止める手立ては?

©︎Getty Images

 無論マンチェスター・シティの前にチャンピオンズリーグでの敗退を喫したことを、バイエルン・ミュンヘンが恥じる必要はない。特に今回のグループステージでは完璧な戦いをみせ、さらにパリ・サンジェルマン戦では優位な戦いをみせての勝ち抜けを果たしてみせたのだから。ただこれまでの退屈な時間を改めて振り返ってみたときに、根本的な疑問が沸いてくることだろう。本来ならばバイエルン・ミュンヘンに求められるのは、ヨーロッパのトップレベルを代表する存在であり続けるということ。それを2019年以降は右肩下がりで続けてきたのだ。

 事実2010年から2018年まで、バイエルンはチャンピオンズリーグにおいて常に準決勝、あるいは決勝へと駒を進めてきた。だが2020年での優勝は例外的で、2019年は16強、2021年は8強、そして何より昨季でのビジャレアル戦での準々決勝敗退は、決して乗り越えられない壁ではなかったはずだ。だが戦力的にみても2020年でティアゴが去り、リーダー的存在だったアラバが去り、昨夏にはレヴァンドフスキが去り、ノイアーは負傷離脱で、ウィングは特に選手層は厚くともかつてのリベリやロッベンのようなエレガントさはなく、ニャブリやゴレツカ、デイヴィースのような主力選手たちが長い低迷期を過ごしてしまった。

 今のバイエルンにはセンターフォワードも存在しない、ハビ・マルティネスのような守備を支えられるトップクラスのボランチもいない。この責任を負っている人物こそ2017年夏からスポーツディレクターに就任し、後に競技部門取締役にもなったハサン・サリハミジッチ氏だ。たとえば昨夏の戦力補強において期待に応えられた選手を挙げるならば、マタイス・デ・リフトのみといえるだろう。そしてタイトル争いではすでにドイツ杯、そしてチャンピオンズリーグでも共に準々決勝で敗退済み。あとはブンデス11連覇をどう果たしていくかだが、それができたとしてチームへの評価はどうなされていくだろう。

 いやバイエルンが抱える問題はチームづくりだけでない。クラブ内自体に恒常的な不安があまりに目につき、内部の詳細は外部にダダ漏れ、かつてのバイエルンらしさはへーネス会長/ルメニゲ代表時代終焉からどこへやら、監督交代を散々繰り返し、チームを代表する存在が減少していき・・・、これらの責任はオリヴァー・カーン代表とサリハミジッチ取締役にあるはずだ。それがいつ問題視されるのか。まだ影響力のあるへーネス名誉会長の動きは?今もてる希望としては先に行われた監督交代によって就任した、トーマス・トゥヘル監督が時間をかけていきながらチームの力を発揮し、また適切な戦力要求を行うことで新しい刺激をもたらしていくということになる。

バイエルン・ミュンヘン バイエルン・ミュンヘンの最新ニュース