2023/04/20

バイエルン:カーン代表「ハーランドなどCF獲得に全力尽くした。」

©︎IMAGO/Ulrich Wagner

 バイエルン・ミュンヘンでは早くも、今シーズンの目標として掲げていた3つのタイトルのうち、2つの可能性がすでに消失してしまった。水曜夜のCL敗退によってあとは10連覇中のブンデスリーガのみが残されており、無論それに今は気持ちを切り替えて集中していくことにはなるのだが、一方ですでに来季の戦力補強に目が向けられていることも紛れも無い事実だ。トーマス・トゥヘル監督就任によって期待した刺激はもたらされず、ここまで6試合で勝利したのはわずか2度。ここからどういう補強を視野に入れるのか。

 「またお互いを知り合っているところだ」と試合後DAZNとのインタビューで語った指揮官は、「今はマインツ戦に集中しているよ」とも強調しつつ、「それからその後で、変化していくために対処する時間ができる。ハサン(サリハミジッチ)がそれを実行に移すだろう。私としては意見は言うが、そこで大きな論争にまでは発展はしないはずだ」と説明。オリヴァー・カーン代表は「大きな疑問を抱いているわけではないし、チームへの関心はある」としつつ、「トゥヘル監督が取り組んでいる調整部分はいくつかある」とも明かしている。

 例えばそれはセンターフォワードに関する問題であり、昨夏にバルセロナに移籍したロベルト・レヴァンドフスキの穴は、エリック=マキシム・シュポ=モティングだけでは埋められていないのが現状だ。だがカーン氏は昨夏にセンターフォワードの獲得に注力したことも強調。「全力を尽くしたよ。そのうちの1人が今日、我々が対戦相手としてみた選手だ」と、エルリング・ハーランドについて指摘した。「我々は常に目を光らせて、日々対処しているんだ。ただレヴァンドフスキのような選手を、そうそう欧州で獲得することはできないし、数自体そうあるものではない。あっても相当に高額を払うことになるんだから」

ファンから首脳陣への苛立ちが高まる

 だがこの日の観客席からはファンからの苛立ちは顕著にみてとれた。試合終盤には横断幕で経営方針への疑問を呈するメッセージが掲げられており、カーン代表も「我々への疑問を抱かれているだろうが、しかし今は自分たちで達成できることに集中していくよ」とコメント。ただそれと同時に「自分自身を見つめ直して、かなりの自問自答をしていく」とも言葉を続けた。「ただ批判の高まりがどうこうという問題ではない。ここで14年プレーした経験からも、結果を残せなければどうなるかは知っている。批判はすぐに起こるもので受け入れなくてはならないものだ。自分は内省的な性格と思うが、今はそれを考える時間がない。今は手にしているチャンスを活かしてリーグ優勝を果たすこと。それから落ち着いて振り返ることができるよ」

マンチェスター・シティ戦での敗戦から見る戦力補強に与える影響

 それでも将来のチームづくりに点において、今回の敗退が及ぼす影響についても見逃すことはできないだろう。進出を果たしていれば報奨金として1250万ユーロが上乗せされ、仮に優勝できていればこの大会を通じて総額1億2152万ユーロを得ることさえ可能だったのだから。報奨金以外でもチケット販売による効果もあった。とりわけプレミアやスペインのトップクラブとは異なり、ブンデスリーガのクラブにとって報奨金が意味する割合は非常に大きく、昨夏のハーランド争奪戦においてもお金は重要な役割を果たしていた。しかもこの敗戦でUEFAクラブランキングではマンチェスター・シティはバイエルンを交わして首位に躍り出たことも財政面で影響を及ぼすものである。

トゥヘル監督、念願のバリーAC招聘へ

 一方でトゥヘル監督がその招聘を希望していたアンソニー・バリーACだが、厳しい交渉の末に実現間近にまで迫っている模様。タイムズ紙によるともうまもなくしてゼーベナー通りに降り立つ見込みで、数週間にわたるチェルシーとの移籍交渉の末に和解金で合意に達したといわれている。主にセットプレーなどを担当するバリー氏は2020年に夏にチェルシー入り。トゥヘル監督退任後もチームに残り続けていた。またチャンピオンズリーグ準決勝での対戦の可能性もあったことから成り行きが見守られていたものの、トゥヘル監督の1つの切望はここで達成する見通しとなっている。ちなみにチェルシーでは次期監督候補として、ユリアン・ナーゲルスマン監督の名前があがっていることから、両クラブはバリー氏の後でも再び交渉の席につく可能性があるだろう。

名グリーンキーパーがバイエルン移籍へ

 またキッカーが得た情報によれば2015年からヴォルフスブルクでメイングリーンキーパーをつとめる、ペーター・ザウアー氏が早ければ5月1日にもクラブを離れ、バイエルン・ミュンヘンに職場を変えるという。特にヴォルフスブルクにとっては近年、ブンデスリーガより「ピッチ・オブ・ザ・イヤー」を獲得してきた功労者を失うことになった。ハイデルベルクに生まれ、アメリカで学んだザウアー氏は、ロシアによるウクライナ侵攻の際に、センターサークルからピースサインを初めて作った人物でもあり、それは世界中で多く模倣されていくことになる。「あのアイデアは夜、ソファで妻と話していて、ふと思いついたんだ」と当時キッカーに対して同氏はコメント。さらなる飛躍の場としてバイエルンへの移籍を希望していたことは以前からも伝えられており、もはや確定は時間の問題となっている。

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