2023/04/23

独誌キッカー解説:茫然自失の王者バイエルン〜CL・ドイツ杯敗退、首位陥落

©︎Getty Images

 まるで今のバイエルン・ミュンヘンでは選手たちのみならず、コーチ陣や首脳陣までもが何をすべきであるのか、もう思い出せないところまできてしまったのか。多くの事がうまくいかないあまり、なんとそれを自らも認めてしまっているのだ。それはもはや面白いくらいにゾッとするような話だが、それでさえもいたし方がないことかもしれない。実際にバイエルンではこの日、前任のナーゲルスマン監督が37試合かけて積んだ3度の敗戦を、トゥヘル監督はあっさり7試合で追いついてしまったのだから。

 しかもそこでのトゥヘル監督の発言は「明らかに今の我々は、苦しい状況へと陥った時にそれに抗うためのエネルギーに欠けている。うーん・・・何故なのか。今はそれがわからない。だがそれが今の私の分析なのだ」 というものであったり、「それには・・・、うーんそういうこともあるだろうし、わからないね。」など、”明らかに”という言葉を8度も用いながら、「わからない」を6度、「思いもつかない」を3度も使用。

 それらに加えて4度使用したのが、「消耗」という言葉だ。心身ともに「もはや70試合か80試合でも戦ったかのような」印象を受けているようで、「集中力が欠けて個人が大きなミスを犯している」と指摘し、トーマス・ミュラーは「また似たような状況になった時までに準備が整っているという保証はできない」と力なく答えている。そのため指揮官は3日間の休養を与えるなど対策を講じてはいるのだが、とにかくバイエルンとしては残り5試合に向けて早急に立て直しをはからなくてはならない状況だ。

 このような不振にあっても当然ながら、カーン代表は就任まもない指揮官を擁護。その理由として「ここのところ十分な話し合いの場がもたれていた」ことを挙げており、そうなるとあとは行動に移すのみとなるはず・・・なのだが、一方でハサン・サリハミジッチ競技部門取締役はここでも「まず話し合いの場を」と発言。それは大変申し訳ないが、理解に苦しむものである。

もはや今のバイエルンでは誰からも自信を感じられなくない・・・、トゥヘル監督は会見の席にて「我々はブンデスリーガにおいて最高のチームをもっている。ブンデスリーガで最も高額の予算をもち、そして常にブンデスリーガを制するということが我々の野望である。ただそこには・・・、そういった部分にも・・・、何と言えばいいか・・・」と言葉を詰まらせていた。

 無論サッカーではミスはつきものであって、「どの人が」と指差して個々人を攻撃するものではない。ただいずれにしてもピッチ内のみならずピッチ外においても話題は尽きず、パリにファッションショーのために向かったり、主将がGKコーチ解任で公然とクラブを批判したり、チームメイトを殴ったりと、最近の不振のみならず数々のこういった負の連鎖は、何も一朝一夕で生まれたものではないということ。それは何年にもわたって侵食されてきた、過程を経て招いた結果なのだ。

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