2023/05/01
「忍耐」で最下位ヘルタから勝利、首位バイエルンに広がる安堵と危機感

©︎IMAGO/Lackovic
日曜午後に行われた最下位ヘルタ・ベルリン戦での勝利後、バイエルン・ミュンヘンでは大きな安堵の色が見受けられた。DAZNとのインタビューにて、マタイス・デ・リフトは「僕たちは4試合未勝利という、苦しい時期から抜け出すことができた。何よりも勝つことが重要という中で、僕たちはそれを掴み取ることができたんだ」とコメント。ダメ押し点となる2−0のゴールを決めたキングスレイ・コマンも、「これで僕たちはまた首位浮上を果たすことができた。これはとても良いことだよ」と喜びをみせている。
なおトーマス・トゥヘル監督は「最後まで、集中してプレーしていたね。特に前半での厄介な時間帯を乗り越えることができたよ。絶好機を逃したことで、得点をするまで時間を要してしまったが、ただ自分たちの自信というものはそこまで大きなものがない中で、決して慌てることなく緊張感を切らさず戦えていた」と総括。「忍耐強く、規律を保ちながら」最後には結果として報われており、ジョシュア・キミヒは「カウンターを許さずに、愚かな形でのセットプレーも許さなかった。ここのところ冷静さを失っていたけど、今日は違った。」と振り返った。実際この日の勝利を、ハイナー会長は「泥臭いながらも」掴み取ったと評している。
トゥヘル監督、チームが一丸となった姿を評価
この日は背中の問題でベンチスタートとなったトーマス・ミュラーは「まずは一歩踏み出したということ。ひとまず安定し、自分たちの力を発揮して、チームとして一丸となり良い雰囲気をもって臨むことだよ」との考えを示しており、そのなかで特に指揮官が目を細めたのが、コマンが得点を決めた際にチーム全体が輪になって喜びを表現した場面。「あれは嬉しかったね。得点することは、決して当たり前のことなどではないんだ。こういった感覚というものが、ここのところは不足していたように思う。戦術、テクニック、ストラクチャー、ポゼッションといったものを超越したものだ」と述べ、バイエルンの観客席からも先制点後からは、「バイエルンこそ王者!」とのチャントがこだまし、追加点へと繋がった。
ただ同時に「まだ我々が優勝をしたというわけでもない」とトゥヘル監督は強調。確かにコマンの見事な活躍や、ニャブリが2月11日以来となる今季10得点目を決め、途中出場のグラフェンベルフもアピールを見せたことなどは明るい材料ではあるものの、引き続きレオン・ゴレツカ、ジャマル・ムシアラ、リロイ・サネ、サディオ・マネらは期待はずれの結果に終わっており、ゴレツカに至っては次節累積警告のために欠場。4試合連続未勝利の影はこの試合にも落とし、果たして今回の勝利で軌道修正をはかれるのか。ドルトムントの逆襲は?など、まだこれからの残り4試合も目が離せない状況だ。
カーン代表「5月おわりに話し合い」
オリヴァー・カーン代表は、「今はとにかくリーグ優勝が大事なんだ」と勝利を喜び、「こういう試合ではいかに美しくプレーするかではなく、とにかく勝つことが重要なのだ。そしてとにかく首位に立つことが目標だった」と述べ、「最後の最後まで接戦が続くかもしれない。だからこそサッカーに100%打ち込めるようにすることが、代表としても私の責務である」とコメント。その上で「この数ヶ月の間で起こった出来事は、決して好ましいことではなかった。話し合う必要があるのは確かであり、それは(5月末の)相談役会で行われる。でもそれはまだ先の話。今はとにかくタイトルを獲得すること。これは単なる慰めものではなく、ブンデス制覇なのだ」と強調した。
ハサン・サリハミジッチ競技部門担当は、「確かに我々は自分たちの目標を達成できているわけではないし、このように結果が伴わなければ、その時には批判も受け入れるしかない」としつつ、それでも「私は冷静に判断しているよ」と説明。「このチームにはトップクラスの力が備わっている。実際に前半戦では72得点をあげ、チャンピオンズリーグでも突出していたのだ。ただそこでワールドカップの影響があり、体調面での問題を抱えていた。もっと上手くやれたのではと、日々自問自答する日々だよ」と語っている。
ブンデス首位の呪い
首位奪還を再び果たしたバイエルンだが、実は今季の首位交代劇は頻繁に行われているところ。というのも今季20試合で首位に立ったバイエルン自身が、その間で10勝(6分3敗)しかおさめることができておらず、第6節から12節まで首位にたったウニオン・ベルリンも戦績は4勝3敗。ドルトムントに至っては今回も含めて3敗となっており、果たして首位奪還を果たして迎える土曜夕方のブレーメン戦では、バイエルンはその呪縛にどういう結果をみせることができるだろうか。