2023/05/28

「優勝直後なんだけど」バイエルンの上層部退任発表に困惑、ハマン氏も「非礼の極み」

©︎IMAGO/Eibner

 1.FCケルン戦で2−1と勝利をおさめ、ボルシア・ドルトムントが痛み分けに終わったことにより最終節で、ブンデスリーガ11連勝を逆転で決めたバイエルン・ミュンヘン。その優勝杯を手にして間も無く行われたインタビューでは、トーマス・ミュラーにオリヴァー・カーンCEO、そしてハサン・サリハミジッチ競技部門取締役の退任についての質問が寄せられた。「・・・、これが試合終了から1分後にでてくるのか?」と困惑したドイツ代表MFだったが、ただ退任自体については事前に知らされていたようで「クラブ側としては、何か動きに出なければならないという思いがあったのだろう。そう説明されたし、それが明らかになったということだ」と語った。

激動のシーズンを象徴する1日

 同じく「昨日から知っていた」というトーマス・トゥヘル監督も困惑した表情を浮かべ、「私たちがここで共に戦うことになった背景には、あの2人の存在が大きく関与している。だからこそ今はまず折り合いをつけていかなくてはならないよ」と、もはや祝杯ムードとは行かなくなったようで「お祝いの代わりに、次のそういった政治的な話題が出てくるというのだから、ふさわしいともいえるのではないか。」とも言葉を続けている。事実ある意味でこの日は激動のシーズンを象徴する1日となった。良い出だしで、勢いを失いつつも、かろうじて生き残る。特に後半ではまたもルーズさを露呈し、さらに「またハンドで同点に追いつかれたけど、でもジャマルがあそこで決めてくれた」とミュラー。最後が若武者の個人技が幸運を呼び寄せる結果となった。

カーン氏「選手たちと共に祝う機会を奪われた」

 そしてついに手にしたマイスターシャーレは、レプリカ。これは試合前までドルトムントが首位だったために致し方のないことだが、ただその直後に上層部の解任発表というのは、TV解説を務めていたOBのディーター・ハマン氏も「到底理解できるものではない。これは非礼の極みであり、決して適切なものではない」とタイミングと手法について苦言を呈す。そもそもなぜピッチにはいたサリハミジッチ氏とは異なり、オリヴァー・カーン代表に至っては帯同さえも「禁じられていた」のだろう?その事実は優勝後にカーン氏のツイートで明かされた事実だ。さらにカーン氏はスカイ90というTV番組内でも、改めて放送の中で優勝イベントから自身を排除したクラブを批判しており、「私の人生の中で最悪の日となった。選手たちと共に祝う機会を奪いとるなんて」と批判を展開している。

サリハミジッチ氏「職務を続けたかった」

 一方でこの場に居合わせたサリハミジッチ氏は自身の見解を高らかに、「このチームを誇りに思うし、選手たちは非常によくやってくれたと思う。今日の試合で、みなさんはこのチームの真の姿を目の当たりにされたことと思う」と実際の内容とは異なる内容を、さらに「ナーゲルスマン監督が去ったことは皆が残念がったし、シーズンの4分の3はいたのだから、祝勝パーティにも招待される」とも発言。真偽はともかく到底その誘いに前監督が乗ることは考えにくい。そして最後に「ぜひ職務を継続したかったし、もう1度CLを制したかった。ただ何よりバイエルン自体が優先されるべきであり、へーネス名誉会長やハイナー会長と話し合いを重ねてきた。今後もバイエルンの友人であり続けたいし、共に多くの困難も経験したが良い状況も経験した。この6年間への感謝の気持ちを伝えたい」と述べ空港、その後の祝賀パーティへと向かっている。

ミュラー、優勝も複雑「フメルスやロイスの気持ちを思うと・・・」

 ちなみにバイエルンではカーン代表の後任について、本来はこの夏で退任予定となっていたヤン=クリスチャン・ドレーセンCFOを指名。サリハミジッチ氏の後任はまだ未定。いずれにしてもこのような展開になってしまったこともあり、トーマス・トゥヘル監督もすっかり優勝気分は冷め、1時間後にはすでに先を見据えていた。明らかなことは今回の優勝はあくまで、ドルトムントの責任によるものであり、トーマス・ミュラーも代表で長く仲間である「マッツ・フメルスや、マルコ・ロイスの気持ちを思うと心が痛むところはあるよ」とも吐露。そんな複雑な胸中を抱えないシーズンを目指すべく、すでにバイエルン・ミュンヘンの2023/24シーズンは幕を開けている。

ムシアラ「言葉にならない」

 その未来を託される選手であり、今回の優勝劇で一躍立役者となったのが、ジャマル・ムシアラだ。「最近、彼は不安定なチームでの成長に少し苦しんでいた」とみるトゥヘル監督は「最近、彼はオーバープレー気味で、プレーが不安定となり、技術的なミスが多く、彼らさがなかった。でも今回のゴールは、この局面からの解放の一撃になるかもしれないね」と値千金の一打が同選手のさらなる飛躍を後押しする一撃となることを期待。そのムシアラも、この日もジョーカーでの起用となったが「最近の自分のプレーには満足していないし、流れに乗れていなかった。ただ誰にでもそういう時期があるものだよ」と認めつつ、歴史で語り継がれることになるであろう優勝弾について 「しばらくゴールを決めていなかったのでね、これは完璧な瞬間だったよ。こんないい気分は初めてで、言葉にならない」と喜びを爆発させた。

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