2023/06/01
バイエルン復帰のルメニゲ氏が語る、自身の役割と今バイエルンに必要な事

©︎Getty Images
バイエルン・ミュンヘンのCEOから退任したその2年後に、カール=ハインツ・ルメニゲ氏は再びバイエルンへ、相談役会の9人目のメンバーとして加わった。これは週末にバイエルンが劇的な逆転劇でブンデスリーガ11連覇を達成した直後から始まった、カーンCEOとサリハミジッチ競技部門取締役による解任劇、その後のドレーセンCEO就任会見という流れを経て、月曜日に発表されたものであり、これからルメニゲ氏はサッカー面におけるサポートを行いつつ、バイエルンとしては年末までにサリハミジッチ氏の後任人事を進めていくことになる。
「私は運営上の部分に関しては、関与はしていかないよ」とドイツ通信社とのインタビューにて明かしたルメニゲ氏は、「私は相談役会メンバーに正式に任命されているわけだが、これがこれまでとの最大の違いを意味する。つまり相談役会は最高機関ではあるものの、運営の主体は取締役会が行なっていくということ。そこでドレーセン氏が代表取締役として率いることになり、また競技部門についても速やかに解決策を提示できればとは思っているよ。相談役会としてはクラブに助言を行なっていくと同時に、適宜スーパーバイジングしていきたいと思う。つまりこれから競技部門で何かが起こる時、そのときは必ず相談役会は私やへーネス氏の助言を求めていくことになるだろう」と語った。「交渉はCEOや将来の競技部門取締役が行うものだが、不在の間はウリや私はハイナー会長やドレーセンCEO、トゥヘル監督と一緒に取り組んでいく」
またクラブ内における激震については、当時は外部の人間であったルメニゲ氏からみて、「3月の監督交代でクラブに動揺が走ったのは確かなことであり、さらにドイツ杯やチャンピオンズリーグでの早期敗退へと、短期間のうちにつながっていってしまった。バイエルン・ミュンヘンにおけるこれまで常に非常に大切にしてきた価値観が、再びクラブの中で息づいていけるようにしていかなくてはならない。それが重要なことになるだろう。私はいつも互いのことを話すのではなく、互いに話し合うことを大切にしてきた。バイエルンは常に1つの大きなファミリーである。調和、忠義、ここの雰囲気という、クラブにおける価値観は、私たちが必ず取り戻していかなくてはならないものなんだ」とコメント。
そこで敢えてドレーセン氏という、これまでにいなかったタイプの代表が誕生したことは、むしろバイエルンにおけるチャンスになるとみているようだ。「これまでベッケンバウアー、へーネス、私など、何十年にもわたって元選手が経営で陣頭指揮をとってきた。ヤン=クリスチャンはもともと金融畑の人間であり、以前は銀行の役員を務めている。彼とは8年間ともに仕事をしており、実際に私が代表を務めてきた20年間における金融担当2人は非のつけようのないトップだった。クラブの成功において非常に重要な存在で、特にいまのような時代でサッカー界でとてつもない金額が飛び交う中、損失も出さずに済んでいるのだよ。ヤン=クリスチャンはまさに完璧な適役ではないだろうか」
そしてその感覚は、トーマス・トゥヘル監督にも抱いているという。「私が在任中にファン・ハール、ハインケス、フリック、グアルディオラ、アンチェロッティといった、数多くの名将たちとともに仕事ができたことは、非常にに幸運なことだったと思う。そして私はトーマス・トゥヘルこそ、ここバイエルンで大成功をおさめる監督になると確信している。出だしは決して容易なものではなかった。それは確かではあるが、しかしナーゲルスマン監督からの交代における動揺が、彼を苦しめてしまったのもまた事実だ。公で物議を醸しているものであり、それに伴いどうしてもクラブ内においても、その動揺は広がっていくことになってしまう」
だからこそ先日にへーネス会長が強調していたように、今のバイエルンにおいて何よりも求められていること、それは「クラブにいち早く、落ち着きを取り戻すということだ」と明言した。「かつては私も選手だったので、これがどういうものかは理解することができる。このような不穏な空気が流れてしまうと、どうしてもチーム自体が苦しくなっていってしまうものであり、チームはクラブに対して、そしてクラブはチームに対して、お互いに自信を持たせ合っていけるような関係性を構築しなくてはならないんだ」