2023/08/06

バイエルン:アジアツアーでみたチーム状況と補強ポイント

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  7月24日から始まった2023年度のアジアツアーは移動距離や時差のみならず、ドイツとの気温差18度という準備を進めるには決して用意ではない条件で行われたものの、それでもビジネス的観点でみれば大成功に終わったと振り返ることができるだろう。用意していた3000枚のユニフォームは全て完売し、「あと1500枚あっても売れたと思うね」と、アンドレアス・ユングマーケティング担当は語った。あとは帰国から2日間でひといきつき、それから8月12日に迎える今季最初の公式戦でありタイトル戦、DFBスーパーカップのRBライプツィヒ戦に向けた準備をつつがなく進めていくことが求められる。果たしてトゥヘル監督がこのアジアツアーで感じた印象はどのようなものだったのか?これからキッカーが検証していこう。

【ディフェンダー編】基本的にトゥヘル監督は4バックを採用する傾向にあり、そこでマタイス・デ・リフトはそのコミュニケーションの高さからも要として期待されているところ。そのデ・リフトとコンビを形成するためナポリからキム・ミンジェを5000万ユーロで獲得。ただ両者のフィジカル面を懸念して今回のツアーでは主に、ベンジャマン・パヴァールとダヨ・ウパメカノが2試合で先発。前者はこれまで主にプレーしていた右SBで1試合のみ出場した。もしも本人が希望するCBとしての評価が高いということであれば、移籍への希望の流れも変化が生まれてくるかもしれない。実際にクラブ側はパヴァールを評価し、来夏までの契約延長を希望しでいるところ。ただ現状でみればマンCのカイル・ウォーカー獲得を模索しつつ、右SBの最有力候補がパヴァール、それに続くのがマズラウイという構図であり、逆サイドはデイヴィースの背後に負傷中だったゲレイロが控える。

獲得模索中:カイル・ウォーカー(右サイドバック)

【ミッドフィルダー編】ここではトゥヘル監督は明確に、ジョシュア・キミヒとコンラッド・ライマーの2人を起用した。しかもトゥヘル監督はさらにボランチの補強を求めているところであり、若手ライアン・グラフェンベルフは堅実なプレー以上のアピールをみせられず、レオン・ゴレツカは後半から起用されることに。デ・リフトも典型的なボランチの不在を指摘しつつ、「今はそのタイプの選手がいないけど、でもいないなら他の選手がそういった役割を担うことも悪いことではなさ」と語る。ただ何よりバイエルンの移籍において最優先事項はハリー・ケイン、それに続くのが前述のウォーカーであり、さらにトゥヘル監督も指摘するように「バイエルンのプラスになれる選手はそういない」ことからも、ボランチの補強はそう簡単には進まないだろう。「ただチャンスがあればそれを掴む」

獲得模索中:守備への意識をもったボランチ

【フォワード編】アジアツアーではミュラーとシュポ=モティングが不在、さらに前述のケイン獲得にも至っていないこともあり、ニャブリと若手テルがCFを勤めた。特に後者はマンチェスター・シティ戦での得点など、活き活きとした闘争心あふれるプレーで、見ている者を大いに沸かせる選手である。そのため前述のスーパーカップではテルが先発出場することもありえるだろう。両ウィングはニャブリとコマンがバイエルンにとって最も危険なウィンガーで、サネは得点を決めたとはいえ十分にアピールできていたとはいえない。

獲得模索中:ハリー・ケイン(センターフォワード)

 いずれにせよトゥヘル監督はチーム全体の状況を改めて把握しながら、すでに宣言していた通りに選手たちとの話し合いを重ねて、冷静かつ率直にそれぞれに見解を伝えることになる。果たしてそこでは互いにどのような意見が交わされることになるのか。どの選手が、バイエルンで、どのような期待を抱かれ、そして抱いているのか。時にそこではクラブを後にするという話もでてくることだろう。なにより指揮官が求めているのはプロとしての姿勢、意思、心構え、そしてチームスピリットにある。別の言い方をするならば、規律を保てない選手ほどにトゥヘル監督の下では苦労することになるだろう。 とりわけ過去2年間からの脱却をはかるために。

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