2023/09/28
バイエルンの薄すぎる選手層、トゥヘルがかけた魔法とその効果は?

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トーマス・トゥヘル監督の手腕が試される、重要な時期にバイエルン・ミュンヘンは突入している。それは日程的な問題ではない、むしろチーム編成における問題だ。この夏の移籍市場が閉幕したときから指揮官が指摘していた、選手層の薄さはここのところ目に見えて問題が表面化してきており、ただもはや言い訳をしたところで状況を変えることはできず、ドレーセン代表が強調しているように柔軟な対応をとることが非常に重要になってくる。そこでトゥヘル監督は様々なアプローチをみせているところだ。
たとえば先日のドイツ杯初戦プロイセン・ミュンスター戦では、過密日程を考慮して攻撃陣ではブンデス3部相手に主力選手を温存し、今季の希望の光となっている若武者マティス・テルなど若手へのチャンスの場としても活用。先日ボーフム戦でプロデビューしたばかりのフランス・クレツィヒ(20)が初得点を決め、また19歳の日本人MF福井太智もジョシュア・キミヒと入れ替わる形で、この日にバイエルンデビュー戦を飾った。守備面では既存のセンターバック3名がこぞって、負傷のために欠場を余儀なくされたため”その場しのぎ”の対策に追われる結果となっている。
そしてそこで起用されたのが、本来ならばボックストゥボックスタイプのMFであるレオン・ゴレツカ、そして右サイドバックのヌゼア・マズラウイだった。これはトゥヘル監督によって行われたテスト的な要素があると同時に、指揮官も選手もともに不足の際にはこういったアプローチも厭わない、決意の表れとしてもみてとることができるだろう。「今日は不慣れなポジションでプレーした選手たちは、非常によくやってくれたし、前向きに受けとめてくれたんだ」とトゥヘル監督は称賛。「その姿勢、アプローチ、結果に非常に満足している。受け入れ、やるべきことをやっていた」と述べており、フロイントSDも「特別なメンバー構成」が示した「熱意」と「好パフォーマンス」を評価した。
まだシーズンは序盤ながら少なくともここまでは、トーマス・トゥヘル監督はバイエルンが抱える選手層の薄さを利用する形で、チーム内における柔軟性の向上と、そして若手選手たちへのアピールの場としても活用することができている。選手たちとの絆も強まっているようだ。この前向きなムードを維持するため、週末に控える強豪RBライプツィヒとの一戦はまさに、今後の方向性を占いかねない重要な一戦となる可能性があるだろう。トゥヘル監督は少なくともキム・ミンジェ、ダヨ・ウパメカノのこの試合までの復帰に期待感を示しているが、それでも「確約できるわけではない」とも漏らした。