2023/11/17

人権団体がFIFAに訴え「カタールの状況は、ほぼ進展なし」

©️IMAGO/PanoramiC

 2022年カタールワールドカップの開催前および開催中には、国内の出稼ぎ労働者における不安定な状況について、繰り返し議論が行われていたのだが、しかしながらあれから1年が経過したいまもなお、アムネスティ・インターナショナルによれば、状況にはほとんど改善が見られていないという。そもそもワールドカップに関連した人権侵害の被害者となった、多数の労働者に対する補償が未だに行われていないという事実に加え、同団体によればは違法な人材募集手数料、賃金窃盗、転職の分野での人権侵害は後を絶たないとのこと。

 中東・北アフリカ地域担当カチャ・ミュラー・ファールブッシュ氏は「カタールはワールドカップ前に導入された労働改革を推進できておらず、適切な施行もできていない」と述べ、「FIFAとカタールは、法律違反の被害を受けたすべての人々に適切な補償を行うための具体的なロードマップに最終的に合意しなければならない。補償をもはや拒否したり遅らせたりしてはいけない。FIFAは自らの過ちから学び、人権に対する責任を真剣に受け止めるべきだ」とコメント。数少ない前向きな進展の一つは、ほとんどの移民労働者が制限なしで出国できるようになり、高温下での労働に関する法律の執行が強化されたことだという。

 ただワールドカップ開幕時のセレモニーでジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、協会とカタールに対する批判を「極めて不公平」だと宣言。実際にむしろサッカー界における流れは、間も無く開催されるカタールでのアジアカップや、2034年のサウジアラビアでのワールドカップ開催など、むしろそれに逆行したものとなっており、また数多くのスター選手や指導者たちが揃って、この夏にサウジアラビアなど中東へと渡ったことも記憶に新しい。

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