2020/09/11

クロップ監督、大型補強のチェルシーにチクリ


 この世界で最も裕福なリーグにおいて、王者FCリヴァプールはこの夏の補強へ下から3番目の資金しか投じていない。1300万ユーロで獲得した、左SBの代役コンスタンティノス・ツィミカスだ。ここ2シーズンで合計196得点を挙げるなど、今のところはクオリリティ面での不足はあまり感じられない結果であること、またコロナ危機において新たな負債を抱えたくはないという、フェンウェイ・スポーツ・グループによる保守的な財政戦略も手伝ってのことだ。
 「世界は不確実性の中にある。」と、木曜日にイギリスの国営放送BBCにて、ユルゲン・クロップ監督はコメント。「だがいくつかのクラブにとっては、彼らが国や寡頭政治家たちによって所有されていることから、将来がいかに不確実かはあまり重要ではないようだね。それが真実だよ」と言葉を続けた。
 このコロナ危機においてFCチェルシーでは、すでに移籍金だけで2億2000万ユーロを投じており、「チームを改善していくには、いろんな方法があるものだ」とクロップ監督。「1つは新戦力を迎え入れること。もう1つは良いものを改善していき、悪いものをなくしていくという方法だ」
 そしてここでのリヴァプールの立場は明白であり、別の言い方をするならばクロップ監督がチェルシーについてどう考えているかも明白である。「彼らは今、多くの選手たちとの契約を交わした。」と、ハヴェルツやヴェルナーらの大型補強について指摘。「これは確かにプラス材料ではあるが、しかしだからといってすぐに、うまく息が合ってプレーできるわけではない。世界最高の11人を揃えたとして、それを1週間で最高のサッカーとして披露することは期待してはいけないよ」
 その上で、指揮官は「リヴァプールは、それとは違う類のクラブなんだ」と強調し、練習への取り組み方ではなく、新戦力ばかりに意識がいくことへ警鐘を鳴らす。「一朝一夕で物事は変わらない。よし、うちもチェルシーみたいにしよう!なんてね」つまりリヴァプールにおけるここ数年での成功は、「自分たちが、自分たちであり続けた」ことによって成し遂げられたものだということだ。
 確かにその持論の聞こえは良い。ただそれはその2018年夏にリヴァプールが、フィルジル・ファン・ダイクへの8500万ユーロをはじめとして、1億8000万ユーロもの巨額の投資を行い、達成した成功ではなかった場合の話。リヴァプールも他にもれず、練習場での成果でタイトルを獲得したクラブとは言い切れない。
 ところでリヴァプールはほぼ変化のない状況の中、昨季のようなパフォーマンスレベルをキープすることができるのか?もしくは更なる改善をはかっていけるのか?クロップ監督はナビー・ケイタや、若手のカーティス・ジョーンズの状態の飛躍について言及。今冬加入の南野拓実については、今では「全く違う」ようにさえ見えるという。だが本当にこれでさらに激化した争いで対抗していけるか、疑問の声もあがっていることも確かである。
 「チャンピオンズリーグ決勝に進出し、次のシーズンで優勝し、そしてプレミアリーグのタイトルを獲得することは、3年を戦ってきたリヴァプールの選手たちにとって、大きな感情的負担をかけることになるだろう」そう話すのは、テレビ解説者のゲイリー・ネビル氏だ。「同じレベルのパフォーマンスを要求することは超人的なことだよ」
 いずれにせよ同氏は、リヴァプールも他に漏れず更なる補強へと動くかもしれないという仮説を、「決して馬鹿げたことだとは思わない」とコメント。「もしも彼らがチームをどうにかして、うまくしていこうと思わない限りは」、例えばそこで候補となるのが、バイエルンのティアゴ。そこでバイエルンは3000万ユーロを求めているようだが、リヴァプール側を納得させるには至っていない。
 その一方でシーズン開幕二日前には、イギリスのブックメイカーでは優勝候補のトップに、昨季2位のマンチェスター・シティが君臨。だがこれは昨年でも同様の現象であり、クロップ監督は「まだ我々は勝ち始めたばかりだよ」と語っている。
 

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