2023/05/28

いまや降格寸前、レスター・シティが陥ったこの2年の転落劇

©︎IMAGO/PA Images

 カスパー・シュマイケルとウェス・モーガンがウェンブリーでFAカップを受け取ったのは、ちょうど2年前のことだ。レスター・シティはティールマンスの見事なゴールにより、トーマス・トゥヘル率いるチェルシーFCに1-0で勝利して、クラブ史上初の優勝を果たした。確かにリーグ戦ではフォックスは、最後の2試合でチェルシーとトッテナムに敗れ、チャンピオンズリーグ出場権を逃し、前年と同じ5位という結果に終わったものの、それでも2016年のサプライズ王者にとって、2022年のヨーロッパカンファレンスリーグ準決勝進出も含め、すべてが順風満帆に思えたことは確かである。だが2年後の2023年5月末の時点での状況は絶望的だ。もはや自力でのプレミア残留の可能性さえも消滅している。

 いったい何がこの1年で起こってしまったのか?そこにはまず財政面での影響が大きかった点があげられるだろう。プレミアリーグ上位争いを恒常的に展開できるよう、財政的に少し背伸びし始めた結果により、トップパフォーマーには高額な契約を、新しい選手も高額な投資で獲得し、さらに近代的なトレーニングセンターの建設も開始。キングパワースタジアムも8000席拡張されることにもなった。だがちょうどその頃に襲ったのが、新型コロナウィルスである。特に「キングパワー」が、観光産業に大きく依存していたため、レスターはその影響を他クラブよりも大きく受ける結果となり、ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の制約を受けることが多くなった。

 その結果で前述のGKでキャプテンのカスパー・シュマイケルを手放した理由へと繋がり、移籍市場ではそこまで活発な動きをみせず、1800万ユーロとなかでも高額投資したヤニック・ヴェステルゴーアが期待を裏切るというミスも重なった結果、思うようなチームの入れ替えを行えない状況へと直面する。またこの時点でブレンダン・ロジャース監督は一部の選手とうまく連携がはかれなくなっており、開幕前からサポーターの間でも解任を求める声があがっていたほどだったが、ただそれなりの成果を残していたことが首脳陣を足踏みさせた。そこから陥ることになる泥沼から、ディーン・スミス監督を招聘し巻き返しをはかったものの、思うような結果は得られずにいる。

 選手たちもまた、ファンの不満の対象となっているところだ。確かに守備陣に離脱選手が重なったとはいえ、それでも質的にみて2部に降格するようなチームではない。それでも止まらぬ転落ぶりにサポーターからは、「そのユニフォームを着る資格はない」とヤジが飛ぶ始末だった。仮に残留を果たせたとしても、どのみちレスターは大幅なチーム変更を余儀なくされる。元フライブルクのソユンチュをはじめとして7選手が契約満了となり、さらに8選手が来季契約最終年度へと突入。降格した場合にはその退団は一気に加速することが見込まれ、逆に財政再建という点では高額サラリーを手放すことにもなるかもしれないが、やはりそれでも潤沢な放映権料が手に入るプレミアへの返り咲きを果たさなければ、いずれまた大きな財政難へと陥りかねない。

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