2023/02/02
原口元気とディアス即起用が勝利に直結、ラバディア監督が決断理由を説明
通常であればいかなる監督であろうとも、新戦力に対しては起用まで、ある程度の時間をかけて決断を下すものだ。だが火曜夜のドイツ杯16強において、VfBシュトゥットガルトのブルーノ・ラバディア監督の決断は違った。勝つか負けるかしかないプレッシャーのかかる一発勝負の舞台で、まだ戦術面での詳細や合意事項の伝達もままならないという不安の中、しかも0−1と追いかける展開の中でまずは原口元気をハーフタイムから投入。そこでウニオン・ベルリンから加入したニューカマーは、チームにその洞察力とテクニックで安定感をもたらしていき、さらに好転へと導くことになったのがジル・ディアスの投入だ。原口と同様にまだ到着してまもないポルトガル人アタッカーは、投入から間も無くして値千金となる同点弾を見事に叩き込む。それが最終的に逆転勝利へとつながっていった。
試合後ラバディア監督は、「ハーフタイムのときに、何か変化を加えていかなくてはならないと感じていた」と明かし、原口元気の投入については「競り合っていかなくてはならないと思ったためだ」と説明。つまりはラインの間を動いたり、時にアウトサイドに展開できる日本人MFの「柔軟性」を求めたのだ。さらに終盤に入ってジョーカーとして起用したディアスについては、「確かに実践経験の不足という部分はあったが、ただああいうゴールはこれまでのキャリアで彼は決めていたから。それにしても素晴らしいデビュー戦になったね」と目を細める。
そんな新戦力の活躍の裏で、この冬にシュトゥットガルトを後にしたのが、中盤で主力をはっていたナウィル・アハマダだ。「決して彼を失いたくはなかった。若手としてブレイクを果たし主力を担っていた選手だったのだ」と指揮官。その見返りとしてシュトゥットガルトはおよそ1200万ユーロを手にし、そのうち200万ユーロを再投資して原口元気、そしてディアスを獲得した。加えてアハマダについては最近の不必要な退場劇や、個人的なミスなどが目立っていたことも後押ししたことだろう。あとは原口やディアスら、他の選手たちがこのチャンスで期待に応えていくしかない。
サイラスにシュトゥットガルト地方裁判所が判決
その一方で負傷離脱組も、これからの巻き返しを大いに期しているはずだ。ワールドカップ終了後から鼠蹊部の問題に悩まされいた、クロアチア代表ボルナ・ソーサについては、ミュンヘンでの個別リハビリを経て「非常によく取り組んだ結果で、チームにスムーズに溶け込めているよ」とラバディア監督はコメント。「適正な範囲にあり、プレーへの意欲もある。オプションの1つだ」と戦列復帰を明らかにした。また右足首の靭帯を断裂していたダン=アクセル・ザガドゥも復帰の可能性があるという。ただティアゴ・トマスについては、腹筋の断裂に悩まされ続けているため、もう少し待たねばならないだろう。
サイラスにシュトゥットガルト地方裁判所が判決
VfBシュトゥットガルトとしては、ひとまず安堵といったところだ。本日シュトゥットガルト地方裁判所は、サイラスに対する評決を言い渡し、5つの社会施設に合計5万ユーロの罰金を支払うとともに、若者向けの研修会を2回開催することを要求した。2021年夏に同選手は、それまでサイラス・ワマンギトゥカという名前でプレーしていたものの名前、そして年齢も詐称していることをクラブ側に告白。代理人の圧力により偽の年齢申告で、コンゴ民主共和国からフランスのパリFCへと渡っていたためで、その後に移籍金850万ユーロでシュトゥットガルトに移籍していた。ただ今回の判決によりこの問題も解決。サイラスは過去の重荷からようやく解放されることになる。