2024/03/16

【CL準々決勝】徹底検証:バイエルンはアーセナルにとって好都合の相手?

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  金曜日に行われたチャンピオンズリーグ8強組み合わせ抽選会では、ブンデスリーガ勢ではバイエルン・ミュンヘンがFCアーセナルと、そしてボルシア・ドルトムントがアトレティコ・マドリードと、それぞれ4強進出をかけて対戦することが明らかとなった。特にパリ・サンジェルマン、ビジャ・レアル、そして󠁿マンチェスター・シティを、3年連続で8強の壁を突破できていないバイエルンにとっては、プレミア首位に立つ絶好調のクラブとの対戦であり、さらに初戦となるアウェイ戦では自身のファンは無観客にて対戦しなくてはならない。また仮に勝利したとしても次戦の相手は󠁿マンチェスター・シティとレアル・マドリードとの勝者という難関が待ち構えているところ。ちなみにアーセナルにとっても初戦のホーム戦の3日前にはブライトンでのアウェイ戦が開催となっており、CL8強入り自体が実に14年ぶりで、最近3度のバイエルンとの対戦ではいずれも1−5で敗退。通算対戦成績でも3勝2分7敗。

惨敗を知らないアーセナルの選手たち

 とはいえ最終得失点2:10で終わった前回のCLでの対戦(2017年)を知るのは、バイエルン側にはノイアー、ミュラー、コマン、キミヒらがいるとはいえ、アーセナル側には誰も存在しておらず過去の事例はさほどの意味をもたないだろう。またこの夏でトゥヘル監督が退任するなど不振が伝えられるバイエルンにとって、それでも今季の総督点数は73とブンデスリーガで圧倒する力を誇ることが、必ずしも今季プレミア最多得点を誇るチームが相手である事が功を奏するかについても、プレミア最小失点も同時に記録するアーセナルが相手ということで、必ずしも相性の良い相手とは言い切れないかもしれない。ドイツ代表ハヴェルツをはじめとする、スピードあふれる攻撃展開への対応も課題だ。ではアーセナルにとっては格好の相手といえるだろうか?

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アーセナルの格好の相手?逆襲に燃えるバイエルン

 こちらについても、そうも一概に言い切れないだろう。バイエルンでは負傷離脱していた選手がほぼ全員復帰を果たしており、ラストスパートに向けて激しい定位置争いが再び展開。とりわけ現実的なタイトル獲得がCLに絞られる事も今回の利点で、三つ巴で優勝を争うアーセナルを尻目に、バイエルンは主力を温存する可能性もある。加えて今季加入のケイン、ダイアーといった元トッテナムの選手たちにとっては、タイトルへの渇望と共に、熟知する元ライバルチームを相手により期する所もあるだろう。ジャマル・ムシアラも若手時代を過ごした地での活躍に闘志を燃やしているはずであり、昨夏にトゥヘル監督が獲得を希望したデクラン・ライスについても、改めて知る必要もない。当然ながらこの日にドイツ代表から選外となった、レオン・ゴレツカも逆襲に燃えているところ。

ドルトムントの相手はラ・リーガ4位アトレティコ

 逆の組ではボルシア・ドルトムントが、2013年のバイエルン戦以来となるCL決勝進出を目指し、アトレティコ・マドリードと対戦。仮にそこで勝利をおさめればパリ・サンジェルマンとFCバルセロナとの勝者との対戦が控えている。この結果にヴァツケCEOは「今回の抽選結果は素晴らしいものだが、できれば初戦をアウェイ戦で迎えたかった。ヴィツェルとの再会となるしアトレティコの強みもよく知っているよ。ただ勝機はなくはないだろうし、五分五分の戦いではないか」との見方を示し、テルジッチ監督も「非常に喜ばしい、興味深い抽選結果。手強い相手だが前途多難となる事はわかりきっていた事。2戦目はアウェイ戦となってしまったが、でも先日のPSV戦のような魔法のようなセカンドレグを迎えたいね」と意気込みを見せた。

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関係者のコメント

ヤン=クリスチャン・ドレーセン(代表取締役:バイエルン)「決勝の地ウェンブレイまでの道のりは当然ながら険しいもの。プレミアリーグ首位に立つアーセナルは非常に好調で、まさに五分五分の戦いが予想される。確かに最近3度の対戦では快勝しているとはいえ、当時のガナーズと今は別物だ。ただそれでも3年連続で8強止まりの我々としては、是が非でも勝ち抜けたいと思う」

マックス・エベール(競技取締役:バイエルン)「欧州トップクラブの1つとの対戦となったが、それでも我々としては準決勝進出となんとしても果たしたい。たとえ彼らがいかに見事な成長をここ数年で遂げ、そして卓越したスピードとバランスを備えたチームが相手であるとわかっていても」

トーマス・トゥヘル(監督:バイエルン)「我々の前途で待ち構える道のりでは、みなさんがご想像されるよりも遥かに、もっとも困難なものが待っている。これから欧州最高のチームの1つと対峙するところであり、彼らは2年間にわたって常にトップランナーとして駆け抜けてきた。非常にバランスが優れ、危険性をもったチームであり、実際に多くの得点を決めてみせている。ただそれに対峙する準備も我々はしっかりとしていくということ。自分たちもまた確かなクオリティをもったチームなのだから」

 マヌエル・ノイアー(主将:バイエルン)「非常に手強いチームであり、非常に良いスピリットも持ち合わせているよ。現在プレミア首位に立つだけの理由は明確にある。タフな2試合となることだろう。だから僕らとしてはこの試合で力の限りをぶつけられないといけない。そうすることで僕らにも勝機が見出せるはずだ」

エリック・ダイアー(今冬にアーセナルの宿敵トッテナムから加入)「バイエルンに加入して間も無く、また決戦のためにイングランドに戻り、さらにこのロンドンに戻ってくることは特別なことだよ。僕らにとって最高レベルでのクオリティをみせつける、そのための絶好の機会だと思っている。アーセナルは若いチームであり、そしてここまで非常に良いパフォーマンスをみせているチームという印象だね」

エドゥ(SD:アーセナル)「素晴らしい対戦カードだ。素晴らしい選手が揃った、経験豊富なチームとの対戦となるのだが、我々もまた勢いに乗っているところ。本当に楽しみだよ。いまはまさに絶好調にあり、これを続けていって、どこまでいけるのか。それは結果のみぞ知るところだよ」

この日の主なブンデスリーガ移籍情報

【フライブルク】シュトライヒ監督、間も無く自身の去就を決断へ。自身の去就について同氏は「月曜か、それか火曜日になるかもしれない。もちろん今回の試合結果(0−5での逆転での敗退)は直接影響はしないし、そうあってはならないものだろう」とコメント。敗戦については「選手たちをそっとしておきたい。あらゆる手を尽くしたのだが、展開も残念なところがあった。ウェストハムはその高いクオリティを発揮して勝利に値しており、効率とは何たるかをみせていた」と述べている。2012年1月からフライブルクで指揮、今季が11シーズン目で、ただ最近は毎年1年契約の更新を発表してきた所であり、昨年も同じ3月に1年延長を発表していた。

【ヴォルフスブルク】ブンデス2部ヘルタ・ベルリンのベンス・ダルダイが、この夏をもってクラブを後にすることを、父パル・ダルダイ監督とヴェーバーSDが発表。MFとして昨夏にドイツU17代表でW杯優勝を果たしたダルダイ家の三男は、おそらく新天地としてヴォルフスブルクに向かうものとみられる。獲得には育成費用のみが支払われる見込みだ。

【ドルトムント】金曜午前にドルトムントはオットー・アッド氏が、この夏をもってトップタレントコーチの職を離れることを発表。それから父の母国へと向かうガーナ代表監督に復帰する。2022年2月から12月までガーナ代表を率いた同氏は「代表監督を務められることは大変に光栄なことであり、すでに在帝監督としてこの役割のなか、非常に密度の濃い時間を過ぎした経験もある。この夏からはじまるタスクを楽しみにしているよ」と語った。

本日の試合の負傷など起用関連情報

【ウニオン】出場停止となったシェファーの代役としてライドゥニ起用の可能性。もしくはクラールが起用されるかもしれない。
【ブレーメン】出場停止シュミットの代役候補はビッテンコート、負傷離脱のシュタークの代役にはグロースが起用される見込み。またヴェリコヴィッチについては右のマラティニの代替オプションとなるはずだ

【ヴォルフスブルク】コヴァチ監督は4バックに変更することが濃厚で、出場停止明けとなるメーレが左右のサイドバックのオプションに。またシュヴァンベリがゲルハルトと入れ替わる形で先発に入るだろう。
【アウグスブルク】ペデルセンが出場停止明け、さらに負傷で出場が危惧されていたドルシュについても選択肢となる見通し。ただ最近の好調さから選手の入替えの必要性に駆られているわけではなさそうだ

【マインツ】アミリは足首に問題を抱えており、状況次第でコールが代役を務めるだろうが、ただ長期離脱明けのフェルナンデスやハンチェ=オルセンの状態次第では、コールは3バックの一角を担う可能性もある
【ボーフム】ブロシンスキやパシエンシアに先発のチャンスがあり、ダシュナーも攻撃の選択肢の1つ。またルースリやマソヴィッチが4バックの右に入る可能性も考えられる。

【ハイデンハイム】出場停止のギンバーの代役にはシアスレーベンがCBに入ることが予想される一方、ベックとマロニーについては欠場が濃厚。さらにアウグスブルク戦で負傷交代したピアリンガーにも出場に疑問符がつく
【グラードバッハ】3バックへの変更も十分に考えられる。ただヴェーバーが間に合うかは疑問で、ハックも先発候補の1人ということになるはずだ。ドイツ杯敗退のなかでも、良い動きをみせていたノイハウスはおそらく引き続き起用され、逆にライツはひとまずベンチスタートとなるかもしれない。

【ダルムシュタット】マグリツァとホランドは再び出場可能となっており、そのまま先発出場も果たすことだろう。バーダーは離脱中のため、スカルケが再び守備面で起用されるはずだ
【バイエルン】ゲレイロはマインツ戦で負傷したデイヴィスの代役として起用、パブロヴィッチも出場停止のライマーの代わりに入るだろう。あきらかにトゥヘル監督の選択肢は、ここにきて増加してきた。

【ホッフェンハイム】カバクとブルックスという2人のCBの離脱への対応が求められることになり、また強力なオフェンス力を武器に今季3位と絶好調のシュツットガルトが相手ということで、おそらくはトランジションを優先しウェクホルストではなく、べブーが起用されることになるだろう。

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