決戦ＣＬアーセナル戦の前哨戦、ケルン戦から紐解くバイエルンの策と課題

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窮地で迎えたアーセナル戦でみせた光明

　ボルシア・ドルトムントとのドイツ頂上決戦に続き、先週末は昇格組１．ＦＣハインデンハイムに２点差をひっくり返され連敗を喫した、バイエルン・ミュンヘン。すでにドイツ杯、そして１１連覇中のブンデスリーガ優勝争いから脱落したシーズンを象徴するような流れの中、唯一残されたタイトル、ＣＬアーセナルとの１stレグはまさに『決戦』という言葉がぴったりな、悲壮感漂う状況での戦いとなった。

　ただそこで選手たちが「非常に成熟した」「男らしさを感じられる」パフォーマンスを示したことは、エベール競技取締役はじめ「期待はしたが不安もあった。だから本当によろこばしく良い一歩だよ」と大きな安堵感を与えるものであり、実際に最難関のタイトルではあるものの、今後の戦いに向けてプレミアリーグ首位を相手に光明がいくつか見受けられている。

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カウンターサッカーで見出した活路

たとえばその1つは、ボールを相手に敢えて持たせる（支配率わずか41％）作戦であり、素早いトランジションから、「サネのような選手。彼がその時速36kmというスピードで突っ込んでいけるスペースを手にできるなら、相当にやりやすくなってくるだろう。」とミュラーは解説した。

実際に同様のスタイルで前半戦では、ドルトムント (4-0)、シュツットガルト (3-0) からバイエルンはともに快勝を収めることに成功していることも、今季のバイエルンの戦いぶりとして特筆すべきポイントであろう。（逆に2週間前のドルトムント戦では61％で0-2と敗戦）とりわけアーセナルのようなチーム相手であれば、「僕らが90分間を通じて試合をコントロールするような展開はあり得ない」とキミヒ。

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トゥヘルvsアルテタによる頭脳戦

　ただそれでもアルテタ監督がただ手をこまねくことも想像しがたく、「今回はもっと僕らがボールを持つことになるかもしれないし、そのときはうまく解決策を見出さなくてはならないだろうけどね」と指摘し、トゥヘル監督も「あらゆる事態に備えて望まなくてはならない。カウンター一辺倒でＣＬ８強は戦えないよ。逆にポゼッションだけに頼ることもできない」と語った。

　むしろバイエルンにとってカウンター以前に重要なこと、それは「非常に優れたディフェンス」と「適宜ハイプレスを組み合わせていける柔軟性。ロストしても試合を見失わないようにしないといけない」ことであり、実際に前哨戦となる今回のケルン戦を前にエベール競技取締役は「浮き沈みの激しさを、これ以上これをつづけてはならない。そして自信をもってアーセナルとの決戦に臨むこと」をテーマとして掲げていた。

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アーセナル戦で求められる、柔軟性と自信

　だがこの試合の終了間際８９分では、またもダヨ・ウパメカノが、ヴァルトシュミットへの致命的なロストで窮地を迎える事態に陥ってしまう。ただそこでダイアーがティッゲスをうまくカバーしてことなきを得て、その４分後にはミュラーがダメ押し点で勝利を収めたが、　トゥヘル監督は「チーム全体として個人的ミスが多いのは確か。それが大舞台では決め手にもなってしまう」と苦言。

　ただそれと同時に改めて不安定さを露呈したフランス代表ＣＢについては「チーム全体が彼の後ろにいると感じてもらいたい。ポテンシャルやクオリティを高く評価しているんだ」と後押し。アーセナル戦での起用の可能性についても「大きな目標達成のためにその力が必要」と、自信をもてるように後押しを強調する。

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コマンまでも離脱！満身創痍のバイエルン

　今回のアーセナル戦を前にバイエルンでは、多くの選手の入れ替えを余儀なくされる。特に前述のようなカウンターサッカーを踏まえた時、復帰後から好調だったセルゲ・ニャブリがアーセナル戦で再負傷し離脱、さらに快速ウィンガーのアルフォンソ・デイヴィスが出場停止となったことは頭の痛い問題だ。加えてケルン戦ではキングスレイ・コマンが相手ＰＡ内でボール奪取を試みた際に負傷。「右内転筋の筋束損傷」がクラブ側より発表された。

　またケルン戦ではサネも恥骨の問題から出場を見合わせており、マヌエル・ノイアーも内転筋の問題からケルン戦での出場を見合わせている。ただ両者についてはアーセナル戦までに間に合う算段とはいえ、どれほどの状態にあるかなど、トゥヘル監督にとって悩みはつきない。ちなみに今回のケルン戦ではコマンの代わりにムシアラを交代で投入。逆サイドは若手テルを起用し、デイヴィスに代わる左ＳＢはサカを想定してのことだろう。本来オプションとなるはずのゲレイロではなく、右ＳＢのマズラウイを左に起用する策を講じた。