2024/04/19

【解説】ナーゲルスマン監督延長!これがドイツ代表とバイエルンに意味するところとは?

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 ユリアン・ナーゲルスマン監督はひとまずバイエルン・ミュンヘンには戻ることなく、引き続きドイツ代表監督を務めていく決断を下した。昨年9月より今夏までの契約で就任していた36歳の指揮官は、このたび北中米ワールドカップまでとなる2026年まで延長している。「これは気持ちの問題。国内最高の選手たちとの仕事は大変光栄な事であり、気迫ある戦いで国全体に刺激を与える機会がある」とコメント。特に最近の代表戦ではフランス、オランダを撃破し「ファンたちの熱意に感動を覚えた。ぜひとも自国開催のユーロを成功させたい。全員が一丸となってそれを目指しており、その後に控えるワールドカップでの挑戦も心待ちにしているところだよ」と言葉を続けており、一方でルディ・フェラーSDに続く契約延長に、ベルント・ノイエンドルフ連盟会長は「これは代表にとって大きな意味をもつ。なぜならば数多くのビッグクラブの希望リストに名前が載っている人物なのだ」と喜びをみせた。「代表での仕事は彼にとって単なる仕事以上の意味をもつもの。今は将来への不安を解消し一心不乱にサッカーへと集中する事ができるね」

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延長でナーゲルスマン監督が見せた、大きな決意と自信

 以前にナーゲルスマン監督は代表監督としての将来について問われ、日々を通じて取り組むことができる日常への憧れを口にしていたことからも、クラブサッカーへの復帰を視野に入れているのではないか?との声も上がっていた。事実そのチャンスはこの夏にあったことは間違いないだろうが、それでもこのタイミングでドイツ代表へのコミットメントを強調したことは、改めて誇りをかけて臨む自国開催のユーロに、完全集中しているという宣言という意味でもあるだろうし、復帰が噂されたバイエルン上層部の一部では、自身への否定的な意見も見られたことからも、信頼をどれほど重視しているかの表れともとれるかもしれない。その点でドイツ代表上層部は全員が一丸となり慰留に努めていた。それでもなお未曾有の大不振に陥っていたドイツ代表において、今回のユーロにおいて惨敗を喫するならばその将来は一気に崩れ去ることだろう。ただひとまずSDと監督を巡る去就問題は、そのときまでは棚上げとなり、これからはノイエンドルフ会長が述べたように「一心不乱に」準備に励んでいく。

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トゥヘル監督「フェラーSDの延長の時に、今回の延長を確信した」

 それではバイエルン側にとって、今回の発表はどのように受け止められていたのだろう?当初、希望最有力とみられていた、レバークーゼンのシャビ・アロンソ監督に続き、またしても夏を待たずしてナーゲルスマン監督延長が発表された格好だ。「私はね、ルディ・フェラー氏が延長した時点で、こうなるだろうと予想していたよ」そう語ったのは、この夏をもってバイエルンを退任するトーマス・トゥヘル監督である。「彼ら2人は外からみていても、非常に調和のとれたチームワークを感じさせてくれているし、お互いをうまく補い合って、サポートしているように感じているよ」と理由を説明。”ラップトップ型”と形容された策士ナーゲルスマン監督は、代表就任から複雑なアプローチでトルコ、オーストリアにも敗戦を喫すると、昨年9月以来の再戦となった3月フランス代表戦で、前回で暫定監督を務めた日韓W杯時の代表監督フェラーSDによる『原点回帰』の気迫のドイツサッカーも再現できており、「これは代表にとって朗報だ。それで将来が明確とされたのだから。最近の勢いとチームスピリットを大会にまで持ち込めるよう期待している。それができればどんな可能性だってでてくる」と語った。

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バイエルン、現時点での最有力はラングニック氏。トゥヘル監督の残留は?

 キッカーが得た情報によれば引き続き、オーストリア代表のラルフ・ラングニック監督が依然として、最有力候補としてリストアップされている模様。65歳のベテラン指揮官とクラブ首脳陣は、これまで話し合いを継続してきたと見られており、どうやら指揮官自身はバイエルンでの仕事に就く事を想像はできるようだが、ただ当のエベール競技取締役がナーゲルスマン監督を優先的にみていたこと、そして来年にチャンスが訪れるかもしれないシャビ・アロンソ監督招聘に向けた繋ぎ役としての見方も相まって、あまり本人にとってはこれは面白い話とは受け取れないかもしれない。いずれにしてもエベール氏としてはできるならば今月中にも新監督への目星をつけたかったところで、そこから11連覇で途絶えてしまったブンデスリーガ優勝の奪還など、再建に向けたチーム作りにすこしでも早く着手しなければならない。ラングニック氏以外に候補となっているのは、元レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督や、昨日にアストン・ヴィラでカンファレンスリーグ生き残りを果たしたウナイ・エメリ監督など浮上。ASローマを退任したジョゼ・モウリーニョ監督はリスト外となっているようで、今回のアーセナル戦後にハイナー会長が惜しみない賛辞を送り一転慰留の憶測も流れた、トゥヘル監督自身は「クラブと合意してるんだよ」と否定している。

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