2024/03/02

「家族が支える」神童ヴィルツの止まらない進化、アロンソ監督も絶賛

©︎IMAGO/Sven Simon

 およそ1週間前に行われた1.FSVマインツ05戦にてフロリアン・ヴィルツは、20歳と296日という年齢でブンデスリーガ通算100試合出場を達成した。これはブンデス史上4番目の若さでの到達であり、とりわけ十字靭帯断裂という大怪我を負っていた事を踏まえれば、より一層特筆すべき数字だ。将来のドイツ代表を担う新進気鋭として注目を集めていた2022年3月、ヴィルツは奇しくも直近の古巣ケルン戦でその重傷を負っており、数週間前に行われたインタビューで妹のジュリアンは「それは私たち家族にとって、大きなショックでした」と当時について振り返っている。は父が代理人を務め、また妹もサッカー選手としてプレーするなど家族が一丸となりサッカーに打ち込むヴィルツ一家は、20歳の若武者が襲われたキャリア最初の苦難も、逆に力へと変えており「この期間で兄は人間として、さらに成長したと思います。そして体格面でみても一回り大きくなっていますよね」と胸を張ったジュリアン。それも当然だろう。実際に今シーズン、レバークーゼンが無敗でブンデスリーガ、ドイツ杯、そしてヨーロッパリーグでも快進撃を続ける中で、成長したフロリアンはまさに大車輪の活躍で牽引してみせているのだ。

 トップ下を主戦場としながらも実際のプレー範囲はラインの間を行き来し、その卓越した電光石火のスピードでプレー展開を上げ、ゴールやアシストなどその決定力を相手にみせつける。まさにその典型的な1シーンが2023年度の年間最優秀ゴールシーンでもみられた、10月末のフライブルク戦でのゴールだろう。相手DFニコラス・へフラーを文字通り『きりきり舞い』に仕留めるその高いクオリティは、ドイツ代表で同僚のヨナス・ホフマンも惜しみない賛辞を贈るほかない。「人々は時折、彼のプレーについて”魔法がかった”と表現しているが、実際にもうお手上げというプレーをみせてしまう。とにかく捉えられないほどボールの扱いが早くて、ボールを奪うのが本当に難しい。そしてここにきてフィジカルでも対抗できている。うちの攻撃陣にとって、彼こそまさに”値千金”という言葉に相応しい選手だろう」今週末に対戦する1.FCケルンも是が非でも引き留めたかった選手の成長を目の当たりにし、羨望の眼差しで見守ることになる。それは間も無くしてレバークーゼンにとっても同じ境遇へと陥ることに?守備面でも成長をみせるこの並外れた才能には、かつてレバークーゼンでは同様に若くして飛躍を遂げたカイ・ハヴェルツと同じく、すでにビッグクラブからの関心が寄せられており、実際にハヴェルツはまさにヴィルツがこの夏に迎える21歳の夏にチェルシーへと渡った。

©︎IMAGO/Team 2

 しかしながら父であり代理人も務めるハンス=ヨアヒム・ヴィルツ氏は、地元紙ケルナー・シュタット・アンツァイガーに対して、ハヴェルツとは異なる道を歩ませたい考えを強調した。「フロリアンはレバークーゼンと2027年まで契約を結んでおり、すなわちそれはレバークーゼンで過ごす事になるであろうほぼ同じ期間ということになる」と、あくまで「今後2年間は様子を見極めていくべきだろう」と指摘しており、「それから道がどのように通ずるのか。それがみえてくるはずだ。そのときに何がみえるかについては、それは今ここで話すようなことではない」とコメント。つまり性急に高額資金を手にしたり、ビッグクラブに渡ってそこでメジャータイトル獲得を経験することよりも、むしろ自分自身の成長におけるこれまでの歩みへの継続性、そしてそれを堅実に長期的に果たしていける計画性に、フロリアン自身をおもってヴィルツ家では重きを置いているということ。「まずはパフォーマンスの浮き沈みを減らしていく事だよ。それにはまだしばらく時間はかかるものだ。そしてそれができた時になって始めて、最高レベルのことを自分たちが口にできるものだと思っている。それにアロンソ監督との出会いは非常に幸運であった。彼は選手としても非の打ち所がないキャリアを過ごし、またこのチームと非常にマッチした、まさに適切な時期の適切な指揮官だといえるよ」

©︎IMAGO/Vitalii Kliuiev

 この言葉を受けてそのシャビ・アロンソ監督も、金曜日に行われた記者会見の席で家族に対する賞賛の言葉をおくっている。「私がここレバークーゼンにきた最初の日に、周囲の人たちからいかにフロリアンにとって、彼の家族が非常に大切な意味を持つかを耳にしていた。ヴィルツ家からは非常に知的な印象と、そして落ち着いた印象も受けている。フロリアンのことについて、とにかく冷静に見極めることができているんだ。彼らはフロリアンが正しい一歩を踏み出していくために、本当に良い意味で大きな影響を与えていると思う。そしてこのクラブにもね。皆さんもご覧いただいている通りに、このチームには素晴らしい選手たちが揃っており、そして今回その彼の父とその家族が共に歩みを進める用意があることを示してくれた。全てはこれからも引き続き、フロリアンが正しい道を歩み続ける、そのサポートとしていくためにね。無論、我々は日々、少しずつ成長するフロリアンをみている。そして今回のケルン戦でも普段通り、このクレバーさとクオリティを発揮することを期待しているところだよ」ただその一方で昨季は途中就任からチーム再建に成功、今季はバイエルンの11連覇を阻む勢いをみせるスペイン人指揮官についても、数多くのビッグクラブからの関心が寄せられているが、果たして来季の行方は?現状ではまだアロンソ監督からは、ヴィルツのような残留宣言は出されていない。

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