2024/03/27

ドイツ代表、ナーゲルスマン評価急上昇!サネら不在もフランス、オランダ撃破でユーロへ弾み

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火曜夜、フランクフルトで行われた宿敵オランダ代表とのテストマッチ。自国開催のユーロを間近に控えたドイツ代表にとって、数日前に敵地リヨンでフランス代表を撃破した流れを、自国でも継続することは絶対的な使命だった。

試合終了後、ドイツ代表サポーターたちが酔いしれていたのは、単なるテストマッチでの勝利というだけではない。選手たちがピッチで見せた姿、そして成功を掴みとるまでの闘志、ニクラス・フュルクルクが肩で押し込む貪欲さをもって掴み取った勝利に感銘を受けたためである。

これまでドイツ代表は、2大会連続でワールドカップGL敗退をはじめ、長きにわたり不振の時期が続いていた。昨秋より就任したナーゲルスマン監督の下でもなかなか好転の兆しは見られず、前回の代表戦期間ではトルコ代表、さらにはオーストリア代表にも低調なパフォーマンスを露呈して連敗を喫していた。しかしFIFAランク16位に低下したドイツ代表は、ユーロ前最後の代表戦でその流れを一変させてしまう。ドイツ代表とは対照的にワールドカップ2大会連続決勝進出中のフランス代表を2-0で撃破、さらに続くFIFAランク6位のオランダ代表からも2-1で連勝を飾ってみせたのである。

その自信をもってボールを持つ姿、ゲームプランを明確に遂行していく姿、そして大きなプレッシャーに晒されながらも途中交代の選手たちが新たな風を吹き込ませ、最後はドイツらしい競り勝つ姿は、それを目にしたファンたちにこの夏への期待感を大いに煽るものだったといえるだろう。

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ゲルマン魂を体現したミッテルシュテート

この試合の象徴的存在となったのが、マキシミリアン・ミッテルシュテートだ。昨季は出場機会に恵まれなかったヘルタ・ベルリンよりシュツットガルトに移籍した同選手は、初招集を受けた今回でいきなりフランス戦とオランダ戦で共に先発出場。フランス戦は上々のデビューとなったものの、オランダ戦では開始直後に不用意なパスミスとスリッピーなピッチによる不運も相まって失点。しかし即座にリアクションを見せ、CKから見事なミドルで代表初得点を叩き込んでみせた。

「あの気迫、それこそ私が目にしたかったものだ」と反骨精神を称えたナーゲルスマン監督は、「彼にはまだ代表は時期尚早すぎるという声も随分と聞かれていたが、しかし今回はミス直後にも関わらずゴールを決め、そして最終的には素晴らしい試合を演じてみせていた。強い向上心と力を持った素晴らしい選手だ。チームもうまく機能しており、きっと彼はこのままの調子を維持してくれるものと思う」と称賛。つまりミッテルシュテートの前には自国開催のユーロ参加への扉が開かれており、「もう言葉で表現しきれない気持ちだ」と激動の4日を過ごした同選手は、「確かに今、ここで変化の波を感じる」とコメント。その波をもっとも感じる選手こそ、自分自身ともいえるだろう。

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チームに自信を取り戻したナーゲルスマン采配

またトニ・クロースもチームの変化について試合後に語っており、「そもそも今は非常に難しい局面にあると思う。だから確かにミスは露呈されたとしても、むしろこれほどの変化の中で、チームが出だしのつまづきから再び勢いに乗ったという、ポジティブな側面の一つとして捉えることができると思う。決して深く考えすぎるべきではなくて、今回のテストで僕らは自信を身につけることができたと言えるだろう。たぶん数ヶ月前のチーム状況ならば、そのまま敗戦してしまった可能性さえあった」と総評。「非常にいい2つのテストマッチ」から「チームスピリットを発揮できた」ことに胸を張った。

しかし、なんといってもこの4日間で一気に評判を高めたのは、ユリアン・ナーゲルスマン監督自身だろう。とりわけ11月では、その戦術や選手起用面で非常に厳しい批判の声に晒されていた若き指揮官だったが、今回は現時点で考えうるであろうトッププレーヤーたちを見事に見極めて選出。あえて守備的メンタリティを植え付けることを意識しながら、過去の教訓を活かした11月よりも増したバランス感覚が、再びドイツ代表に自信を芽生えさせることに繋がったのだ。

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多くのビッグネーム不在で輝いたドイツ代表イレブン、定位置争いは激化の一途

「ナーゲルスマン監督は、とても良い組み合わせを見つけることができたね。本当に素晴らしいチームパフォーマンスだったよ。良い選手たちが揃っているし、そして良いサッカーをしている。見ていて本当に楽しいチームだ。」

これは、出場停止のため参加できなかったリロイ・サネの言葉だ。しかし、サネと同じく負傷で不在となったニャブリ、ゴレツカ、シュロッターベック、ズーレ、ゴセンス等々も含め、ナーゲルスマン監督が「この11人を慣れさせる」ために2試合とも選抜されたイレブンの活躍を目にするのは、彼らにとって複雑な思いであったに違いない。

それでも、本来は軽傷さえなければ代表チームに呼ぶ予定だったと明かした指揮官は、「我々は目指すサッカー体現を目標としているのであり、そこで今後一切先発をいじくらないとはならない」と強調。誇りをかけた自国開催のユーロ2024に向けて、ドイツ代表が今回示したドイツの美徳が求められているのは、途中出場で決勝点を決めたフュルクルクが示したように、何もこの日ピッチにいた11人だけに限ったことではない。

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今後のドイツ代表の予定

5月18日ブンデスリーガ最終節
5月中旬から下旬にかけて代表メンバー発表予定
5月26日にブランケンハインでのトレーニングキャンプに向けて集合
5月31日にヘルツォーゲンアウラハのベースキャンプに移動。トレーニングを継続
(ただしチャンピオンズリーグ決勝戦は6月1日にロンドンで開催されるため不在選手の可能性も)
6月3日にはニュルンベルクでウクライナとのテストマッチ
6月7日にはメンヒェングラートバッハでギリシャとのテストマッチ
6月7日午前0時までに最終的なメンバーの発表

グループリーグ第1戦は6月14日にミュンヘンでスコットランドと、
第2戦は6月19日にシュツットガルトでハンガリーと、
第3戦は6月23日にフランクフルトでスイスと対戦する。
7月14日にベルリンで決勝が開催されるが、果たして・・・?

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