2024/03/23

冷めぬナイキ移行への批判!翌日ドイツ連盟が正当性を強調する展開に

©️IMAGO/Revierfoto

 70年以上続いた自国のサプライヤーであるアディダス社との一時代に終止符を打ち、そして米国のナイキ社との契約を発表したドイツサッカー連盟に対して、翌日となった現在もなお批判こ声は収まりそうにない。キッカーの読者アンケートでも9割がこのことについて否定的な回答を行っており、さらに政治家からも「愛国心」を問う声が寄せられた。また連盟による失態や成績不振などもあり昨今ドイツ代表離れが問題視される中で、これまでになかったデザインで自国開催のユーロ仕様アウェイキットを、過去最高の売り出しをみせたアディダス社に、ナイキ社決定の旨が発表当日まで知らされなかったことも、さらに批判を煽る結果となっている。

 そのことについてドイツサッカー連盟は「今回の入札には複数の上場企業が関与しており、このような場合は資本市場における影響を懸念して、プロセス参加者全員に並行して通知されるようにした」と説明。そのため公式に発表する直前に伝えることで「インサイダー取引のリスクが最小限におさえられる」のだという。選定へのプロセスは一律に明確化されたものであり、3月15日までに入札希望した全ての企業に対して、3月18日から20日にかけて「アイデアやビジョンを提示する」機会が与えられたとのこと。その内容を踏まえた上で、ドイツサッカー連盟としてナイキ社との7年契約を選択することになった。では改めてみて今回の判断は、ドイツの大臣クラスさえも言及に値するほど驚くべきことなのだろうか?

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反論1:財政再建の中で2倍の入札額

 確かに国民感情としては「あらゆる声について理解はしております」と連盟側も理解を示す一方、例えば入札額に関してはドイツサッカー連盟側は「皇帝も否定もしない」が年間1億ユーロ相当とみられており、これはアディダス社の2倍にも相当する金額。当然2000万ユーロの構造的赤字の解消を図っていく連盟にとって、大きな意味合いをもつことはいうまでもない。そしてドイツサッカー連盟には加盟する協会に資金提供をするという特別な立場もある」と連盟側が強調しているように、関係協会も今回の恩恵を受けるほか、男女とわず、アマチュアサッカーも含めたサッカー振興自体における提案内容も、アディダス社よりもナイキ社が上回っていた模様。

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反論2:旧体制の負の遺産解消に真摯に向き合う

 グルンヴァルト連盟財務担当はビジネス誌キャピタルの中で「我々は税務当局よい不正行為による告発を受け、過去数年間の非営利資格を剥奪されており、これに我々現在、透明性をもった手続を進めて政治家の方々とも向き合っている」とコメント。「そして今回の入札額については、非常に大きな開きがあった。200万ユーロほどの差であればアディダス社から離れることはおそらくはなかったでしょう」とも付け加えている。実際にドイツサッカー連盟ではケルンにあるVAR施設をフランクフルトのDFBアカデミーに移し有効活用することで経費削減を検討するなど、対応に追われている所。

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反論3:公明正大な入札プロセス

 また批判の対象となった今回の発表の時期については、グルンヴァルト氏は「そもそも1月の時点でこの時期での速やかな発表を関係者に伝えており、もしも批判を受けるのであればそのときに然るべきであろう。ただ結果がこうなったから現在のようになっているんだ」と語った。なおキッカーが得た情報によればブラジル代表やフランス代表との入札に向けて、もしもドイツ代表の契約が頓挫した場合にその資金をこちらに回せるということもあり、そもそも早期の発表は双方にとって有益なものであったようだ。

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余談:ドイツW杯優勝時の半分は他社製着用

 ちなみにドイツがワールドカップを制した4度のうち、2度はアディダス社ではなく別企業のユニフォームで果たされており、初優勝を果たしたベルンの奇蹟では現在は存在しないLeuzela社のユニフォームによって、そして先日他界し今回チームバスのデザインにもなっているフランツ・ベッケンバウアー氏が優勝杯を掲げた時に着用していたユニフォームも、アディダス社ではなくエリマ社のものだった。アディダス社での優勝は1990年と2014年の2度。ナイキ欧州はSIDに対して「2027年からドイツサッカー連盟のオフィシャルパートナーとなり、サッカーの将来の可能性を解き放つためのご協力ができることをうれしく思う」とコメント。男女チームのサポートと競技面への発展への意欲をみ強調した。

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