2024/03/08

バイエルン?レバークーゼン?ヘーネス監督がシュツットガルトと契約延長!

©️VfB Stuttgart

  とりわけ先週のVfLヴォルフスブルク戦での勝利以降、セバスチャン・ヘーネス監督の去就を巡っては、数多くの憶測が飛び交ってきた。昨シーズンは残留争いの真っ只中にあったチームに就任して無事ミッションを達成。そして続く今シーズンでは一躍チャンピオンズリーグ出場権を争い、そして所属選手の多くへ他クラブからの関心が寄せられるなど手腕を発揮する指揮官には、その上位につく2クラブ、トゥヘル監督が夏に退任するバイエルンと、シャビ・アロンソ監督の去就も不透明なレバークーゼンなどが浮上していたのである。

 だが対照的にへーネス監督はシャビ・アロンソ監督とは異なり「そういった噂は良いシグナルだと受け取っているよ。でもそれ以上のこともない。我々の仕事ぶりへの評価の表れの1つであって、そのこと自体については喜んで受け入れたい。クラブを代表してね。でも今シーズンが私にとってシュツットガルトでの最後になるとは思えないよ」と残留の意思を明言。そしてその言葉通りにその翌日となった金曜日には、改めて2027年までの契約更新が無事成功した事が発表されている。

 今回2年間の更新に応じたへーネス監督は、「我々は皆が一丸となって、シュツットガルトを良い道へと導く事ができた。これからの目標は半ば恒久的にクラブを上半分の順位に位置できるよう持続させることにある」とコメント。「このチーム、スタッフ全員とともに、この素晴らしいファンたちのサポートを受けなが仕事をすることは、就任当初からの喜びでしかなかった。ヴェーレ代表、ヴォールゲムートSD、ゲントナー氏ラトの建設的な対話によってなされたものでもある」とコメント。

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 一方のヴォールゲムートSDは「言うまでもなくへーネス監督との契約延長は、クラブの今後の発展において現時点で何よりも重要なもの。常に一歩身を引いてチームの考えを前面に押し出し、1年前では特に財政面など不透明だった中で、それに怯むことなく明確なコンセプトを持ち、何が求められるかを1人1人に伝えていきながら就任初日よりクラブの観点を変えて行ってくれたのだ。クラブの内外の人々を巻き込んでいきながら。」との評価を述べている。

 バイエルンのウリ・ヘーネス名誉会長の甥でもあるセバスチャン・ヘーネス監督は、その後にTSGホッフェンハイムの監督に就任。初年度ではヨーロッパリーグでGL突破を果たすと、シュツットガルトと同様に2シーズン目で大きく飛躍。第18節終了時点で同じく3位とチャンピオンズリーグを狙える位置に付けたが後半戦で大ブレーキ。結局後半戦ではリーグ全体13位の成績で9位にとどまり欧州リーグ出場権さえも逃す格好で退任し、以来昨シーズン終盤にシュツットガルトの監督となるまでフリーの状態が続いていた。

©︎IMAGO/osnapix

 それ以降の活躍は前述の通りである。シュツットガルトは開幕直前に主将の遠藤航が移籍するなど揺れならがも、セール・ギラシ、デニス・ウンダフ、クリス・フューリヒらが魅力的な攻撃的サッカーを展開。遠藤の穴埋めは副主将ヴァルデマール・アントンが主将となり今やドイツ代表候補へと飛躍、ボランチではバイエルン、ホッフェンハイム時代の教え子アントン・シュタッハを獲得するなど見事にカバーし、ギラシやザガドゥの負傷離脱なども波風立たせることなく、選手とともに監督として進化を続けるへーネス監督は後半戦でも、勢いを維持した戦いを展開できているところ。また長期離脱明けのヴァグノマンをうまく軌道に乗せ、最大5人がドイツ代表入りを果たす事さえ可能なチームを作り上げている。

 特筆すべきは主将の突然の不在にも関わらず発揮されたそのリーダーシップ、そしてシュツットガルト首脳陣と共に欧州注目のクラブの1つに押し上げたチームワーク、特にヴォールゲムートSDが強調したように財政問題を抱えながらも導いた、その明確なコンセプトとそれによって結びついて行った結果を思えば、ドイツのトップクラブが移籍先候補としてこぞって浮上した事は何ら驚きではなくむしろ、アントンやミロー、フューリヒ、伊藤洋輝、ザガドゥらと共に、敢えて例外条項なしで更新した事こそ驚きのシグナルと受けとることができるだろう。ただバイエルン復帰という選択肢については別の見方もでき、ナーゲルスマンやトゥヘル監督ももってしても救えない苦境に、敢えてへーネス一家の一員としてここで参上する事のリスクもあった事は否めない。前述の通りヘーネス監督自身、一躍CL圏内から僅か半年で解任という激級を味わっている。

©︎IMAGO/Matthias Koch

 今回、果たしてリーグ戦残り10試合で、ヘーネス監督の攻撃サッカーの行き着く先はどこになるだろう?その最初の相手となるウニオンは、自身と同様に残留争いの最中のチームを率い、軌道修正に成功したビェリツァ監督率いるウニオンだ。「ウニオン・ベルリン戦に向けて最大限の敬意を持って臨む。監督交代もあったが今の彼らは完全に安定しており、失点は非常に少ない。チャンスを作ること自体が困難であり、我々にとって大きな課題だよ」とヘーネス監督。「まさにそれがウニオンスタイル。コンパクトに構えながら様子見して、ビルドアップの際にはプレスにも気を払いセカンドボールを積極的に奪いにくる傾向がある」と警鐘。

 一方でウニオンのビェリツァ監督は「今季素晴らしい戦いをみせているチームで、特にホームで成功をおさめている。昨季にチームを救ったヘーネス監督の下、今は素晴らしいサッカーを展開しており、我々としてはドルトムント戦で見せたように、精力的な戦いを求められることになるだろう。バイエルンやライプツィヒを相手にしても確かなチャンスは手にできたように、あとは決定力の差をどう挽回していくかということだ」との見方を示している。

【シュツットガルトの先発予想】ニューベル – ヴァグノマン、アントン、伊藤、ミッテルシュテット – カラソル、シュティラー – レーヴェリング、ミロー、フューリヒ – ギラシ

【ウニオンの先発予想】レノウ – ドゥーヒ、フォクト、ディオゴ・レイテ – ユラノヴィッチ、R.ケディラ、ゴセンス – トゥサール、シェファー – フォランド、ホラーバッハ

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