2024/02/22

互いのための別れ:バイエルンの後継者は?トゥヘル監督の来季は?

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 この決断は何も3連敗という事態を受け、初めてバイエルン首脳陣が考えはじめたテーマではない。以前より問題視されてきたことが、この3連敗を経て遂に結論として導き出された格好だ。火曜午後にドレーセンCEOと、トーマス・トゥヘル監督は「有効的な話し合い」を長時間に渡る意見交換を行い、そこで指揮官は少数の選手との間にある種のズレが生じていることなど、チームの問題点を詳しく説明。そしてこの「余りに残念な1週間」を経て、ドレーセンCEOは互いの道を分つという提案を行なっている。特に連日飾った「トゥヘル」の名前を冠した見出しは、2人の娘たちのいる家族にまで被害を及ぼすものであり、ただ今季終了まではそこから完全に解放されることはないものの、それでも幾分かは解き放たれた部分はあるだろう。

 逆にバイエルンの選手たちにとっては前任者であるユリアン・ナーゲルスマン監督、そしてその後に就任した経験豊富なトーマス・トゥヘル監督の下でも、状況が好転しなかった責任が当然ながらより問われることになり、もはや言い訳など通用しない。いまはただ勝ち点差8にまで広がったブンデスリーガ12連覇という目標に向け、そして初戦を落としたがチャンピオンズリーグ16強での勝ち抜けのみならず、その後のタイトル獲得に向けて、ただ邁進する他ない。一方のトゥヘル監督にとっては、かつて緊急登板して思わぬ優勝を果たしたチェルシー時代のように、最後にここで一花を咲かせ改めて自らの指導力を来る市場に向けてアピールしたいところ。またバイエルンも過去の一例としては2012/13シーズン、ユップ・ハインケス監督の進退問題で、早期にペップ・グアルディオラ監督招聘を発表し、最終的には欧州三冠まで達成した点も挙げられるが、ただ当時の状況は現在とはあまりにも異なるものであったことはいうまでもない。

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バイエルンの後継者候補は?

 それでは来シーズンからの後継者候補は、一体どの監督なのか?確実に招聘を希望している人物としては、かつてバイエルンでもプレーしその後のコンタクトが切れたことがないという、現在ブンデスリーガで無敗の首位に立つレバークーゼン指揮官、シャビ・アロンソ監督だろう。ただこちらについては同じく夏に退任する元マインツ、そして元ドルトムント指揮官、ユルゲン・クロップ監督の後任候補としても浮上中。それ以外としてはシャビ・アロンソ監督と同様に華麗な現役時代でのキャリアを誇る、ジネディーヌ・ジダン監督も注目を集めることになりそうだが、さらにハンジ・フリック監督の復帰についてもどうやらクラブ内では議論されている模様。だがもし双方が既に納得がいく話し合いができていれば、おそらくは現在フリーの指揮官のその後の就任は前述の通りに事態の沈静化という意味でも、既に発表されていた可能性があるだろう。それ以外にはセビージャで3度、ビジャレアルで1度、ヨーロッパリーグを制したウナイ・エメリ監督にも注視しているようで、あとは現在ブンデス3位シュツットガルトで指揮をとる元バイエルンIIの指揮官で、ウリ・へーネス名誉会長の甥でもあるセバスチャン・ヘーネス監督も噂には挙がるが、ただ経験値という点においてまだ時期尚早とはいえないか・・・。

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トゥヘル監督の来季の動向は?

 一方でトゥヘル監督の来シーズンの展望はどうか?指摘されるプレミアリーグ復帰の可能性については、古巣チェルシーの噂については論外としても、新たにラトクリフ卿を迎え入れたマンチェスター・ユナイテッドに関しては、その経済力や伝統、ブランド力という部分でトゥヘル監督にとって魅力的な選択肢といえそうだ。ただそれ以前にエリック・テン・ハフ監督の進退に決着がつくことが前提ではあるのだが、それではトゥヘル少年が羨望の眼差しで見つめていたバルサはどうか?こちらは既にシャビ監督の今夏での退団が発表されており、ただあとの問題はトゥヘル監督がスペイン語を話すことができないという事だろう。いずれにしてもこれらの状況からいえることは、クラブ側にとってもトゥヘル監督にとっても、確かに今シーズンいっぱいをもって道を分つということがどうやらベストの判断であろうという事である。

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トゥヘル時代の終焉は、バイエルン新世紀の幕開け

 実際にトゥヘル監督は1年前に就任した時には、もっと大きな野心をもって就任していた。しかし求めていたような戦力補強は、前任者たちによる不用意に崩された給与体系で選手獲得もままならない状況で、それゆえに首脳陣は既存の主力たちに過度な信頼と評価を寄せ過ぎ、批判の声にも耳をかさなかった。無論トゥヘル監督自身もこのマンネリを打破すべきと認識していたものの、当然のことながらその過程では味方だけでなく、敵も作ることになる。だがもはや背に腹はかえられぬこの夏の大改革でバイエルン首脳陣は、出血覚悟で選手たちを選別、大幅な入れ替えを行い、再び魅力あるチームを作り上げていかなくてはならないはずだ。そういった点でトゥヘル監督との緊張感から解放された選手たちは、これから一心不乱にサッカーに打ち込み、そしてこれまで繋がらなかった結果にも繋がるかもしれない。最終的にどういった夏が待っているのか。それは間も無く就任するマックス・エベール氏の登場から幕をあける。

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