2024/02/21

夏に大改革を迎えるバイエルン、トゥヘル監督が今季限りで退団

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 水曜日にバイエルン・ミュンヘンはプレスリリースにて、今シーズンいっぱいでトーマス・トゥヘル監督と、退任する事で合意したことを明らかにした。これはドレーセンCEOとの友好的な対話の結果で「バイエルン・ミュンヘンは本来2025年夏まで結ばれていた契約を、2024年6月末日で終了することを共同で決定した」という。そこでドレーセン氏は「私たちの目標は2024/25シーズンに向けて、新しい監督と共にサッカーにおける方向性を変化させることにある」とコメント。「ただそれまではチャンピオンズリーグ、そしてブンデスリーガにおいて最大限の成果を手にすることが求められる」と言葉を続けており、一方のトゥヘル監督もまた「もちろんそのために全力を尽くす」覚悟である事を誓った。

トゥヘル監督下の失意の10ヶ月

 昨年3月に当時解任されたユリアン・ナーゲルスマン監督の後任として就任した同氏だったが、最終的にはブンデスリーガ優勝を手にしたとはいえ首脳陣が期待していたような成果を挙げられているとはいえず、今シーズンに至っては実に12年ぶりとなる無冠で終焉を迎える可能性が十分にある。ブンデスリーガでは無敗の首位レバークーゼンに勝ち点差8をつけられ、そしてドイツ杯では3部ザールブリュッケンを相手にまさかの敗退。さらにチャンピオンズリーグにおいても16強初戦ラツィオ戦で黒星スタートを切ったばかりだ。特に最近の公式戦3連敗はドイツ王者にとって2015年以来となる屈辱であり、試合後には指揮官は困惑した表情を浮かべ、またチームの根深い問題をこれまで解決できなかった事で批判の声も再表面化していた。

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バイエルンが抱える大きなジレンマ

 今シーズンのバイエルンには多くのジレンマがある。例えば現時点における勝ち点50はブンデスリーガ史上2番目となる2位としての好成績であり、かつてこれより下回って首位に立っていたこともあった。それだけレバークーゼンが絶好調であるともいえるのだが、ただ一方でタイトルという目標でいえば前述の通りにドイツ杯2回戦での敗退やCL16強での黒星スタート、レバークーゼンとの首位攻防戦を落とすなど、明らかに期待値を下回る。そしてボーフム戦などでもみてとれたように明らかな得点チャンスを手にしても決めきれず、逆にここぞという場面でのミスが勝ち点喪失につながるなどもはやドイツ王者としての威厳も風格も失われた感は否めない。もはやこの夏にはバイエルンでは大きな変化は待ったなしで、その最初の決断が監督交代となった。ただ果たしてどうチーム作りをこれから行なっていくのか。それは前任者サリハミジッチSD時代に不用意に破壊した給与体系によって生じた、根本的問題と向き合わなくてはならないということ。

夏に大改革も前途多難なバイエルン

 そもそも昨夏にトゥヘル監督はチーム強化を訴えながら、それでも思うように進まなかったのには理由がある。欧州クラブ内で3番目の高給とりとなったバイエルンでは、例えばニャブリ(2026年まで)、キミヒ(2025年まで)、ゴレツカ(2026年まで)、デ・リフト(2027年まで)、サネ(28)らは恐らく1700万ユーロは受け取っていると見られており、圧迫された給与体系の中での選手補強は決して容易なものではなく、逆にまずは売却しようにも欧州内での屈指のサラリーを手にし満足なシーズンを過ごせていない選手たちの受け取り先を見つけることは困難。つまりはエルナンデス獲得(移籍金8000万ユーロ、年俸2400万ユーロ)獲得から破壊した給与体系が、その後の主力延長でのサラリー高騰化を招き、更に首脳陣はこれら選手の起用のため居場所を確保を求めた結果、チームの支えとなっていたアラバをフリーで失った挙句、それら選手たちはサラリーに見合ったプレーを見せなくなってしまった。

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