2024/03/12

大きな正念場迎えたドルトムント:手腕問われるテルジッチ監督と、ロイス、フンメルスの苦境

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 今シーズン、ブンデスリーガで4位につけるボルシア・ドルトムントにとって、ここまで決して満足のいくような結果ではないことは明らかだ。「これまで我々は、あまりに多くのミスを重ねてしまった」と、週末のブレーメン戦前にエディン・テルジッチ監督が語っていたように、今はとにかく「結果が求められる」状況に。それは「順位表で希望の位置にない」クラブにとってもそうだが、選手自身に目を向けても今月に入ってベンチから見守るしかないマルコ・ロイス、そして同じく先発争いで後塵を拝するマッツ・フンメルスにとっても「希望する位置にない」日々が続いているところ。

 セバスチャン・ケールSDによれば、ドイツ代表復帰を果たすなど好調だった前半戦とは異なり、「時折、体調を崩してしまったことで、トレーニングにおけるリズムが失われてしまった」事が主な原因にあるという。「だがきっと再び、彼の力を必要とする時はくる。このチームにおいて彼は、ピッチの内外にわたって、ロッカールームでも非常に重要な存在なんだ。チームを鼓舞してくれる選手だよ」とリーダー的存在としての期待感も強調する。

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ロイス、フンメルスの苦境「変化のときはいつか訪れるもの」

 ただ今回のブレーメン戦1つを振り返ってみても、ライバルであるズーレがドニエル・マレンの先制点につながる見事な前線へのフィードをみせたのに対して、後半から出場したフンメルスは数的不利もあったとはいえ、エンジンマーに先制点を許す場面では思い足取りからパスカットまでわずかに届かず、失点に関与。「時には苦しい状況もサッカーではあるもの。フンメルスの存在がチームにとって大きい事に変わりはなく、これだけのクオリティをもった3CBがうちにはいるんだ」とケール氏。

 さらに「ロイスやフンメルスという、高い評価と信頼を得ているベテランがいることは喜ばしい事だ」と胸を張ったが、それでも契約最終度にある両者に、大きな変化の時が訪れているという感は否めない。「いつかヒエラルキーにも変化のときは訪れる。それは当たり前の話」とケール氏。「重要なことは目的を見失うことなく、共に話し合いを重ねていくこと。リスペクトをもって互いに接することだ」と言葉を続けた。まずはフンメルスの次の正念場は今週水曜。不本意なシーズンを少しでも良きものとするための機会、チャンピオンズリーグの舞台だ。

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シュロッターベックがCL欠場、フンメルスに穴埋め期待

 ライバルであるニコ・シュロッターベックは今季ドルトムントの選手の中で最長出場時間を確保中も、この試合では出場停止のために欠場。PSVアイントホーフェン戦ではバイエルン時代からプレー経験のある、ズーレとフンメルスがCBコンビを形成する。「特に不安はないし、練習でもしょっちゅう一緒にプレーしているわけだから。」とテルジッチ監督は強調。今季ここまで2人でプレーした試合では、平均失点1.96で、これはズーレとシュロッターベックのコンビによる1.92より若干下回る程度。右利きフンメルスが左に入ることになるが、それは巧みに両足を使い分ける同選手にとってはキャリアを通じて慣れっこのことだ。

 シュロッターベック、ズーレともにビルドアップに長けた選手だが、その点についてもフンメルスも同様の資質を備えており、ただ対照的な点をあげるならばやはり、ブレーメン戦で失点につながってしまった前述のスピードの欠如。実際の数値として最高時速33.87 kmのズーレ、時速33.4kmのシュロッターベックに対して、フンメルスは時速32.44キロに留まる。もう1つの選択肢としては、エムレ・ジャンを3バックの左側に配置することで、フンメルスをリベロの位置で起用しカバーをはかる策も考えられるだろう。特にブンデス全体5位にとどまる決定力を、ブンデス全体3位タイ(2位バイエルンとは僅か2差)で支えるドルトムントとしては、ここは自慢のCBの選手層の厚さとテルジッチ監督の手腕のみせどころ。

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守備陣で相次ぐ出場停止、テルジッチ監督の次の一手は?

 まさにそれは週末のブレーメン戦でも発揮された。マルセル・サビッツァが退場処分となり、後半を数的不利で戦うことを余儀なくされたにも関わらず、「それまで順調な戦いで2−0としながらも、ハーフタイム直前にまさに試合の行方を左右する大きな出来事があった」と、ニクラス・フュルクルクは当時を回顧。「でも僕たちはここ数週間、こんな感じでプレッシャーがかかる事を想定した、トレーンングをかなり頻繁に繰り返していたんだ。たとえばこちらが8人、相手が10人みたいにね。だからそれが今回は功を奏したんだよ」と語るように、前線のフュルクルクやアデイェミから始まるハイプレスがブレーメンの攻撃陣の出鼻をくじく姿もみうけられ「相手をゴールから遠ざける時間帯が多かったね」と指揮官もニンマリ。

 まずは水曜のチャンピオンズリーグ16強セカンドレグではシュロッターベック不在、そして続くアイントラハト・フランクフルトとのリーグ戦ではサビっツァの不在を、うまくカバーしていかなくてはならない。さらにその代表戦明けには2位バイエルン・ミュンヘン、そして3位VfBシュツットガルトとの上位直接対決も。加えてグラードバッハを挟んで首位レバークーゼン、さらにCL圏外となる5位ライプツィヒという、まさに今季を占う大きな正念場を迎えることになる。特にバイエルン戦でもサビッツァは出場停止に?今回の退場の理由は相手選手ヴァイザーのアキレス腱付近を蹴った事によるものであり、ドルトムント側はそこまで激しいものでもなかったと強調。1試合で済むかは ドイツサッカー連盟の判断次第という状況だ。

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