2023/12/19

サバイバルゲーム再び!ドルトムントvsマインツ

©︎imago images

 これだけ抑えれば、ブンデス通!12月18日のブンデスリーガニュースを、ドイツの視点でまとめて振り返る、『今日のブンデスリーガ』。本日のテーマは今晩開催される注目のリベンジマッチ、ボルシア・ドルトムントと1.FSVマインツ05による、さまざまな意味でのサバイバルゲームについて解説します。

ドルトムントとマインツで生まれた新たな展開

 ユルゲン・クロップ、トーマス・トゥヘル、そしてマルコ・ローゼ。過去の監督1つとってみるだけでボルシア・ドルトムントと1.FSVマインツ05は、近年のブンデスリーガにおいて、非常に深いクラブ関係の1つだ。そしてそこで生まれた新たな展開がちょうど今から半年ほど前の5月末。ブンデスリーガ最終節において、ドルトムントが勝てば自力で12年ぶりとなる優勝を果たす一戦でのことである。戦前の予想では消化試合となっていた9位マインツとホームで対戦するドルトムントが優位とみられたものの、結果は序盤から2点リードを許し、最後は2−2の痛み分け。シーズン後にマルコ・ロイスは主将から退く決断を下し、ハーランドに続いてベリンガムも失ったドルトムントは、失意の中でチーム再建をはかっていくことになる。

「シーズンの目標を見失いかねない」ドルトムント

 ドルトムントの本拠地シグナル・イドゥナで迎える今回のリーグ戦は、その時以来となるマインツをホームに迎えての一戦だ。そして今回もまたドルトムントにとって再び今後を左右する重大な局面での戦いとなっている。前節のライプツィヒ戦での敗戦によりCL出場圏内まで勝ち点差5となり、すでにドイツ杯16強で姿を消してしまったことからも、これ以上の距離感をつけられては目標を見失いかねないところにまで追い込まれることになる。一方のマインツもまた成績不振の責任を取る形でボー・スウェンソン監督が退任。後を継いだダニエル・ジーベルト暫定監督の命運もまた年内最終戦となるこの試合に大きくかかってくることになるはずで、特に出だしこそ好調だったが(11月は1勝2分無敗)、12月に入ってからは2つの下位直接対決を含む3試合で1分2敗と失速。「我々は勝ち点を思うように得られず、マインツもまたこの試合は必勝体制で臨む」というケールSDの言葉が的を射た表現といえるだろう。「ドルトムントとしては最低限の目標を見失わないように。最近のブンデスでの成績は振るわないし、これは目的にそぐわない。」 

ドルトムントに「自信と勇気を与えるもの」とは?

 それではマインツと同様に監督更迭も?それはチャンピオンズリーグの『死の組』において見事な挽回をみせ、そして首位突破を果たしたことからも、あまりに短絡的な考えだと言えるだろうが、ことと次第によって監督の進退問題にまで発展しかねないのもまた確かだ。ただドルトムントはこれまでこのような落ち込みを幾度となく経験し、そしてそのたびに這い上がってきたクラブ。今回も求められることはそのような、一致団結した姿勢。その点においてはこの1週間で示したライプツィヒ戦、CLパリ・サンジェルマン戦、そして続くアウグスブルク戦では数的不利の中でも奮闘をみせており、「ドイツ杯敗戦後からの改善に手応えを感じさせる。きっとうまくいくだろう」と、テルジッチ監督。「本当に良い一歩。これから細かな部分を調整して手にしたチャンスを得点に変えていくことだよ。我々はこのような状況を何度も経験し、乗り越えられることを証明してきたからね。それが我々に自信を勇気を与えてくれるのさ」さらにリーグ戦15試合で25失点という。過去16年間でみれば最悪の失点数をいかにカバーしていくかも大きな鍵となるだろうが、その点ではマッツ・フメルスが出場停止から復帰するのは朗報だ。

マインツがもつ怖さの要素

 逆にマインツというクラブがドルトムントに与える不安要素は?「そういう声は、まぁ出てくるだろうね」とテルジッチ監督が明かすように、前回の悪夢の記憶。そして2つ目は、下位低迷ながらも「本来のマインツはもっと力のあるチームである」ということであり、特に前節の昇格組ハイデンハイム戦での敗戦から非常に高い危機感を募らせているということ。3つ目はドルトムントは過去にも下位相手の取りこぼしが多く、そしてマインツのシュミットSDが「うちが守りに入って戦える相手が待ち遠しい」と話すように、ドルトムントはマインツのプレースタイルにとっては格好の相手。そして最後のポイントはこの試合で監督としての分岐点にあるジーベルト暫定監督の覚悟であり、かつてドルトムントで2年間ユース監督を務めるなど、ドルトムントのDNAを知り尽くした男がどのような戦略を講じてくるかは大いに注目されるところだ。マインツのコールは「監督交代から明らかに守備面では改善しているし、あとは運。もしその運が自分たちに傾けば、一気に物事は進展するものだよ」と強調。そのセンセーショナルを再びドルトムントの地でマインツは引き起こしてしまうのか。いったい誰の悪夢となるか、サバイバルゲームの幕開けは、もう間も無くだ。

先発予想

ドルトムント:コーベル – ムニエ, ズーレ, フメルス, ベンセバイニ – ブラント, ジャン – マレン, ロイス, バイノー=ギッテンス – フュルクルーク
負傷、etc:アデイェミ (足首), ムココ (筋損傷), F.ヌメチャ (臀部), リエルソン (膝負傷)

マインツ:バッツ – ファン・デン・ベルク, ベル, コール – ヴィドマー, クラウス, イ, ムウェネ – グルダ, リヒター – アジョルケ
負傷、etc:バレイロ (大腿筋の筋損傷), ギラボギ (大腿の筋腱損傷), ハンチェ=オルセン (足首), ライチュ (大腿筋), ヴァイパー (膝), ツェントナー (指)

CL16組み合わせ抽選

月曜午後に行われたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦の抽選結果、ディフェンディングチャンピオンのマンチェスター・シティはデンマーク1部FCコペンハーゲンと、準優勝のレアル・マドリードはそのマンCに次ぐGL2位で突破したRBライプツィヒとの対戦が決まった。そのほかドイツ勢はバイエルンがラツィオ、ドルトムントはPSV。またスペイン勢ではバルセロナがナポリと、アトレティコがインテルと、それぞれイタリア勢と対戦。もう1つのスペイン勢、レアル・ソシエダはパリ・サンジェルマン戦に挑む。またプレミアのもう1つの生き残りアーセナルは、FCポルトと対戦する。

主な移籍情報

ビルト紙によればバイエルンは、トーマス・ミュラーが来季以降も残留の見通しとのこと。34歳のドイツ代表は来夏までとなっている契約を、1年延長することでクラブと合意に達したという。あとはサインのみとなっており、クリスマス前にも成立する可能性があるだろう。

Bundesliga Bundesligaの最新ニュース