エベール就任会見：激震のバイエルンへ寄せたクラブ愛と強い決意

©︎IMAGO/Sven Simon

　火曜日に行われた就任会見に臨んだマックス・エベール新競技取締役は、グレーのチェックパンツ、黒のボンバージャケット、ブルーのスニーカー姿で、少し緊張した面持ちを浮かべながらヘルベルト・ハイナー会長やヤン＝クリスチャン・ドレーセン代表取締役らと共に登場した。無理もないだろう。彼が後に強調したように、バイエルンはユース時代を過ごした「心のクラブ」であり、そしてこれから新時代を迎えるバイエルンを、過去にはネルリンガー、ザマー、サリハミジッチ氏らでうまくいかなかった役職で受け継ぐことは、彼にとってまさに大きな挑戦以外の何物でもない。

　バイエルンでのユース時代を経てボーフム、フュルト、グラードバッハで現役生活を過ごし、その後はグラードバッハ、そしてライプツィヒでのマネジメントを経験して古巣に戻ってきた50歳には、今回の会見で当然ながら数えきれないほどの質問が寄せられた。キミヒやデイヴィースの去就問題などには具体的に答えることは避けたものの、ケインのような大物の獲得の可能性とテルのような新進気鋭の獲得との相関、フロイントSDとの関係など上層部との在り方についてなど、興味深い発言も多く聞かれた。
以下、一問一答を翻訳して紹介。

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…バイエルン・ミュンヘン：「ホームに戻ってこれたことを光栄に思う。１９８０年にここのユースの門を叩き、そしてプロへの階段を上ることができた。そして私自身も、このクラブの成長を目の当たりにしてきた背景もある。ずっと心の中にあり続けたこのクラブが、いかにしてこの発展を遂げてきたのか。そこでこのような責任ある立場で呼んでいただいたことを大変嬉しく思っていく。非常に大きなリスペクトを抱いており、それと同時に謙虚な気持ちと期待感をもって、この素晴らしい財産を受け継いでいきたいと思っているよ」

…短期的目標：「目的は比較的シンプルだ。率直に申し上げて、今シーズンの残り３ヶ月で最高の結果を手にしていくということ。バイエルンとしてはあまり経験のないことだが、我々は今は追いかける立場にある。勝ち点差８と聞けば随分と広がっているようにも聞こえるし、実際にその差は決して小さなものではないいが、ただプレッシャーをかけていく事を考えればまだまだ試合数は多く残されているんだ。またチャンピオンズリーグにおいても我々は今まさに追いかける立場にあり、これから追いついていかなくてはならない」

…長期的目標：「取締役会、フロイントＳＤとともに、持続可能性が認識された、そして人々にとって誇らしく思えるチームを構築していくといこと。そして無論ここにはタイトルを獲得することを使命として私は存在している。他のメンバーはすでに多くのタイトルを祝った経験をもつが、私はまだないんだ。だから私にとってはそれを少なくとも１度は達成することが、１つの大きな目標だとはいえるだろう」

…トゥヘル監督退任：「それは正しい決断ではないかと思うよ。それは私エベールにとってでもなく、ハイナー会長にとってでもなく、トゥヘル監督にとってでもなく、バイエルン・ミュンヘンにとってという意味でね。これから迎える数ヶ月に向けて、適切な刺激をここで注入していくとするならば、これは正しい決断だといえるだろう。ただこの判断には私はまったく関与はしていないよ」

…求める監督像：「私はバイエルン・ミュンヘンにとって適切な監督を見出さなくてはならないと思っている。バイエルン・ミュンヘン、そしてその監督にとってマッチする適切な選手も見つけなくてはならないだろう。それは早ければ早いにこしたことはないのだが、ただそう簡単にいくものでもないだろうね。フリーとなっている候補者もいれば、まだ契約下にある候補者だっている。これからフロイントＳＤと共にこのことについて取り組んでいくよ。スター選手の獲得も必要であり、同時にテルのような若手選手も必要だ。我々としては適切な監督を見出さなくてはならないということ。これらの選手たちと仕事をするにはドイツ語が英語は必須となるだろうね」

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…移籍方針：「可能な限り成功を手にできるような、すなわちタイトル獲得を達成できる最高の選手たちを、ここバイエルンに迎え入れたいと思っている。そのターゲットとなるのはトップスター選手も当てはまる可能性はあるし、でも逆にバイエルンはその優れた洞察力で先見性の高さもみせてきた背景もある。それは本当に見事なもので、他クラブでは現金を外部から注入しなくてはならないという中で、バイエルンはこの数十年をかけて着実に自らの足で成長し続けてきたクラブだ。また輝く星を手にしたい。ただそれを手にする代償が適切であるかの判断は必要だがね。バイエルを適切な形で導いていき、そしてタイトルを獲得し、クラブとしての発展を続けなくてはならないんだ」

…フロイントＳＤとの関係：「彼と私はまったく対等な立場で、競技面を推進させていくことになる。彼はまさにエキスパートであり、すでにこのバイエルンにいてくれたことを本当に嬉しく思っているよ。我々はチーム、そしてここでのプレーを共に推進させていく。それと同時にキャンパルについても盛り上げていきたい。タスクにおける分担は比較的シンプルなものになるだろう。我々は共に成功指向タイプの人間で、チームワークを完全に理解し、共感する部分や互いの価値観を重視することができる２人だからね」