2023/12/27

バイエルンがター獲得模索?首位奪還に向けこの冬抱く思惑と課題

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 3日間つづいたドイツのクリスマス休暇明けとなる、27日の今日のブンデスリーガでは、おそらくその裏で前半戦に関する詳細な分析を行ったであろう、バイエルン・ミュンヘンの今冬に抱く目標、そして課題について分析。特に日程的にも、選手補強や起用面においても、柔軟な姿勢を求められる背景について、改めてみていきます。

勝ち数的には順調も前半戦で露呈した課題

 この半年間についてバイエルン首脳陣が分析にあたったとき、今季喫した公式戦での敗戦3つのうち、おそらくDFBスーパーカップの0−3での敗戦はさほど議論にあがることはなかっただろう。むしろドイツ杯2回戦におけるブンデス3部ザールブリュッケン相手に喫した1−2での敗退劇は、その後にブンデスリーガで初黒星となった屈辱の大敗劇(1−5、vsフランクフルト)に非常に似た内容であり、集中力の欠如とロストの繰り返しなど個人的ミスが絶え間なく繰り返された結果となってしまった。

好材料①ハリー・ケイン

 逆にこの半年間を振り返ったときの好材料として、息の合ったコンビで貢献していったのがハリー・ケインとリロイ・サネ。イングランド代表主将はわずか半年ですでに公式戦33得点をあげており、ブンデスリーガでは得点ランクトップ。一方のサネもここまで8得点9アシストとすでに昨シーズンを上回る成績を残しているところ。とりわけケイン人気は非常に大きく、年内におけるユニフォームの販売記録は過去最高。10万着の大台突破も視野にいれる。

好材料②若手の飛躍

 また若手マティス・テルの飛躍も、攻撃面における明るい話題の1つとしてあげることができるだろうし(323分間の出場で8得点)、最終的には公式戦25試合に出場したフランス・クレツィヒもその1つ。互いにバックアップ要員であったとしても、ケインらプロの模範から「ベンチにいても全部吸収してやるんだという気持ち」を持ちながら、バイエルンで飛躍への足掛かりのきっかけを作り出せたことの意味は大きい。クレツィヒは持ち前のテクニックを駆使して本職の攻撃のみならず左SBとしてもアピールに成功。この「オールラウンダー」さもビッグクラブで若手が生き残るには大きな武器だ。

好材料③CBとボランチ補強失敗を埋めたゴレツカ

 中盤においてはこの夏の有力な移籍候補として浮上し、実際にジャパンツアーなどMFの3番手扱いを受けていたレオン・ゴレツカについても、代表選出も見送られるなどそういった雑音から自身を守りながら、「移籍は選択肢にない」と宣言し表面的には冷静を保ちながら回復。 中盤のみならず時にはセンターバックも積極的にこなす姿に、トゥヘル監督はじめ首脳陣は非常に高く評価。「雑音にも目を閉じて粘り強く頑張りつづけ、決して自分を見失うことなく状態を再び上げていくことができた」と述べているように、特に積極的な攻撃参加と守備面での責務を果たす両面での仕事をこなしていた。果たしてそれがドイツ代表復帰に繋がるか。それはまた今冬の中盤における補強など進捗状況を見守るほかない。

好材料④ゾマー移籍もウルライヒが支えノイアーが復帰

 守備面での息の合ったコンビとしては、ノイアー不在の穴埋めを今回も果たしたスウェン・ウルライヒ、そして10ヶ月ぶりに復帰を果たし順調に出場を重ねてきた、マヌエル・ノイアーについても挙げられるだろう。リズムもつかみつつある守護神の目には、3月の代表戦期間におけるドイツ代表復帰も入っており、おそらくはバイエルン時代のナーゲルスマン監督との確執(懇意にしていたGKコーチの解任)も解消されているはずだ。

不安材料①ドイツ杯2回戦敗退のインパクト

 そういった背景や選手たちからのトーマス・トゥヘル監督への評価、ブンデスリーガ1敗、ドイツ杯1敗、そしてチャンピオンズリーグでは今回も無敗で突破したバイエルンについて、これまでにもトゥヘル監督の下で再び軌道に乗り始めているとの発言が繰り返されているが、しかしながら余り好意的にそれを受け止めるような傾向にはない。昨季よりも勝ち点数4で上回りながらもリーグ戦2位で折り返したこと、そしてなんといってもドイツ杯2回戦での敗退があまりに大きなインパクトを与えてしまったといえる。

不安材料②ドイツ杯2回戦敗退のインパクトと厳しい冬の移籍市場

 また今冬の移籍市場では、これまで露呈していた選手層の薄さについても改善をはからなくてはならない。とりわけセンターバックにおいては3人しかいないうえにデ・リフトが負傷がち。また夏からボランチの必要性は指摘されており、例えばブンデス首位レバークーゼンのヨナタン・ターは、大衆紙ビルトによればトゥヘル監督のお気に入りの1人だという。ライバルの弱体化にも繋がるという点では一石二鳥にも思えるが、ただロルフェス氏は「この冬に選手を放出する考えはない」と強調。アフリカ杯での主力流出の影響や例外条項の行使も来夏のため、よほど法外なオファーでない限り乗ることはなさそうだ。ボランチについても候補として上がったフラムのジョアン・パリーニャも高額な移籍金がネックとなるなど前途多難。

不安材料②過密日程、苦しいやりくり、選手に求められる対応力

別の見方をするならば前述のゴレツカやウパメカノなど前半戦では主力をはったベテラン、アピールの場所を手にしていた若手選手にとっては、この移籍市場の動向を踏まえながら1月2日より再開される後半戦にむけた準備に勤しむことになる。特に今回はブンデスリーガの再開がわずか10日後となる1月12日ながら、それから次のブレーメン戦まで9日間も時間が空くため、1月14日から18日までポルトガルの南海岸ファロで更なる磨きをかけていくことに。ただ大雪のため急遽中止となったウニオン戦が24日にスライドするなど、いきなり過密日程にも入ることから、バイエルンでは選手、コーチ、首脳陣、スタッフら全員が様々な分野において柔軟な対応が求められることは間違いない。

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