2024/01/31

ハマン氏に異例の反論文、トゥヘル監督の大きな3つの課題

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バイエルン、ハマン氏に異例の反論文

 バイエルン・ミュンヘンは月曜日に、特に名前を挙げることはなかったが、ある人物の過度な行動について、敢えてクラブ公式サイトにて声明を発表する判断を下した。そこには「日曜日に行われたファンクラブメンバーとの交流の中で、トゥヘル監督はこれまでの海外における指導キャリアに関する質問を受けており、当然ながらそこで自身の考えを示しました。そこではサッカー大国の1つである、スペインに関する質問も寄せられており、ただシャビ監督やその後任について特に言及するようなことはありませんでした」と説明。そして「我々はあのような客観性に欠ける、監督に対する発言を決して容認することなどできません」と言葉を続けている。

 いったい何があったのだろう?ハイデンハイムで行われたファンイベントに出席した際に、トゥヘル監督は他の欧州諸国での監督就任の可能性について問われ、一般的な回答を行いそこで前向きな見解も示していた。「あくまで基本的なこととして、海外に対してはまたいつか、間違いなく魅力的に映るときはくるだろうね。スペインサッカーは、特にその非常に大きな自信に裏打ちされた、非常に素晴らしいリーグだと思うよ」とコメント。これを日曜日にTVでのトーク番組に出席した、ディトマー・ハマン氏が「何という高慢な態度であろうか。彼はバルサでシャビ監督の後任への意欲をみせている」と叱責したのだ。

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 その上でハマン氏は「彼は本来は聡明な男で不用意にこういう発言はしない人物だが、ただバイエルンの一員である以上は上層部に口出しする真似は賢明とはいえないよ」と述べており、おそらくはバイエルンの監督をほどなく退任するのではないかとも推測。「トゥヘル監督とバイエルン・ミュンヘンは、ユルゲン・クリンスマン監督以来となる最大の誤解だと言えるだろう。噛み合っていない。それはもうトゥヘル監督自身も理解しているのさ」と語っていた。

 ちなみにローター・マテウス氏も以前にトゥヘル監督を批判し、こちらはカメラの前で両者が一触即発という事態まで見られたが、ただぼどなくしてハマン氏は謝罪文を発表。「感情的な議論の後半で私が言及した、トーマス・トゥヘル監督の発言は正確に再現されたものではなく、誤解を招く結果となってしまった。彼はバルセロナにもスペインにも行きたいとは言っていなかった」と説明している。「そのことについてトーマス・トゥヘルとバイエルンに謝罪したい」

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トゥヘル監督の課題1:コマン離脱

 しかしいずれにしても今回シャビ監督の退任が前日に発表されたばかりであったことを踏まえれば、トゥヘル監督の発言はタイミング的にも非常に残念なものであることには変わりないだろう。 そもそもトゥヘル監督にはこの冬、まだまだバイエルンでの課題は山積み状態だ。たとえば先日に離脱が発表された、キングスレイ・コマンの穴埋めは?セルゲ・ニャブリも負傷離脱中という中で、アウグスブルク戦では若手マティス・テルを投入。トーマス・ミュラーは終了間際までベンチに座っていた。テルもポスト直撃など良いところはみせたが、ジョーカーとしての評価も高い中で再び先発となるか?それとも典型的なウィンガーではないが、独自の解釈でプレーするミュラーに白羽の矢が立つか。それともムシアラを右サイドにスライドするか。

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 それともブライアン・サラゴサを前倒しして今冬に獲得?「我々は現在、多くの負傷者を抱える、まったくもって容易ではないこの事態打開に向けて、いまはは話し合いをすすめているところだ」と明かしたフロイントSDは、そのなかにサラゴサを「もっと早く連れてこれるか可能かを協議している。しかしながらここには三者三様の思惑があるわけで、最終的にそれが一致するかどうかはこれから数日でわかる事だ」との見方を示した。「ブライアン自身、クラブへの恩義もあることだろうし、その逆もまた然り。だから今は何も具体的なことは言えないんだよ。とにかく残された時間はあまりにも少ないことだしね」

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トゥヘル監督の課題2:デイヴィースの動向

 それ以外のもう1つの選択肢としては、バックアップCFのシュポ=モテイング、もしくは左SBのアルフォンソ・デイヴィースを、左ウイングにスライドするというアイデアだろう。特にデイヴィースは2019年に加入するまではそこが本職であり、ただ若手選手としてSBとして掴んだチャンスを活かして、初年度から欧州三冠という大きな成功を達成。「加入当初は僕は無名の存在であり、そこで結果を残したことで周囲からの期待値は高まっていったから」と回顧。して「常にとはいかないまでも、基本的には僕はそれなりには応えられていたとは思う。ずっとできる選手なんてそうはいないものだしね。それにウィングからのコンバートで、僕も徐々にトリックプレーを減らすなど経験を重ねながら、学び成長を目指しているところなんだ」と言葉を続けている。

 ただしとりわけここ数ヶ月においてはダイナミズムに欠け、長所である攻撃面では決定力に欠けており、ブレーメン戦など失点に直結する致命的なミスも露呈。加えて今冬にはレアル・マドリードとの繋がりも指摘され、バイエルン首脳陣はそのことに苦心しているとも言われているところ。「僕はここでとても快適に過ごしている。欧州トップのクラブの1つで、素晴らしいメンバーとプレーできているんだ。これからも集中してチームとファンのために全力を尽くしたい」と強調したデイヴィース。離脱者の影響により再び先発に返り咲いたが、左サイドバックにおける定位置争いでは現時点では、ラファエル・ゲレイロの後塵を拝する格好となっており、前節でゲレイロが先発した右サイドではサシャ・ボエがガラタサライから加入したことからも、これから夏までデイヴィースの動向は契約と並行して注目ポイントといえそうだ。

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トゥヘル監督の課題3:右SBの再建

 その一方でようやく、トゥヘル監督が待ち望んでいた右サイドバックの補強に成功した、バイエルン・ミュンヘン。こちらもこれまでの経緯を振り返ってみると、フィリップ・ラームの後継としてジョシュア・キミヒが引き継いだ後、2シーズンはその役目をこなしたが本人はMFで出場を希望。そこで次に白羽の矢が立ったのがベンジャマン・パヴァールで、結果的に前述の目覚ましいデイヴィースの飛躍の中でチャンピオンズリーグを制することになるのだが、こちらも2年が経過した時に本職であるCBでのプレーを希望。その結果では混乱が生じ、過去12ヶ月だけでバイエルンの右SBでプレーした選手の数は8人にも上る。昨夏にはそのパヴァールとスタニシッチはバイエルンを退団、、代わりの選手は獲得せずにマズラウイ/ライマー、第3の選択肢としてキミヒやサールといった体制で臨んだが、これからこちらはマズラウイ/ボエ体制で再出発をはかる。

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ボエが初練習、そして入団会見

 そのボエ初披露となった火曜の練習では、12人ほどのガラタサライのユニフォームを着たファンたちも駆けつけており、この日に行われたミニゲーム形式ではまだ特に目立つようなアクションはなかったが、周囲からは大きな声援が寄せられていた。なおこの日は前述の通りニャブリやコマン、ウパメカノやライマー、キミヒ、サールに加えて、代表参加のためにマズラウイとキムが不在に、代わりに5人の若手選手が下部チームより先日分ですデビューしたロブロ・ズボナレク、アダム・アズノウと福井太智、マックス・シュミット、17歳になりたてでU19では得点王のハビエル・フェルナンデスらが参加していた。

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 その後の入団会見の席で、ボエは「準備はできている。ベストを尽くし、できる限りチームの助けになれるよう努めていきたい」とフランス語でコメント。移籍金額にも「僕は重圧はない。ここに来られて光栄で、良い意味で興奮しており、これから一歩ずつ前進したい」と意気込む。一方でフロイントSDは獲得に至った理由について、「以前から彼は頭にあったが、再注目したのは、我々は大いに苦しんだガラタサライ戦でのこと。彼はそのプレースタイル、なによりそのエネルギッシュさで際立っていた。ピッチでは常に輝きを解き放つ選手だよ」と説明している。

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主なブンデスの移籍

【バイエルン】ジョナ・クシ・アサレ(FW:16)獲得間近であると、スウェーデンのポータルサイト『Sport Expressen』が報じた。196cmのスウェーデンU17代表は、🇸🇪AIKソルナからまもなくミュンヘンにてメディカルチェックを受けるとのこと。
【サレルニターナ】ジェローム・ボアテング(CB:35)は、複数のイタリアメディアによれば、USサレルニターナ加入に迫っているようだ。今夏よりフリーとなり、一時はバイエルンに練習生として参加していた元ドイツ代表の獲得の向け、スペース確保のためロヴァートかダニリュークを手放す必要がある模様。ボアテングとの契約は今季いっぱいまでで、セリエA残留達成への貢献が期待される。
【フルミネンセ】ダグラス・コスタ(FW:33) が新天地を見出した。バイエルンやユベントスなどでプレーしたアタッカーは、最近までLAギャラクシーでプレー。今回復帰する母国のクラブとは2025年までの契約を締結している。

【マインツ】ジーベルト監督の昇進によってドミノ式に空位となった、マインツU19ヤン・キルヒホフ氏が就任する見込み。かつてトゥヘル監督の下でユースからバイエルン移籍へと飛躍、そこでグアルディオラ監督にも影響を受けた33歳は、昨夏よりシュトゥットガルトU17で監督を務めている。
【ボーフム】アンドレアス・ルーテ(GK:36)が既報通りリーマンのバックアップとして復帰。2001〜2016まで在籍した古巣とは今季まで契約を締結している。一方のカイザースラウテルンはそれに先駆けて新たな第2GKとして、キールを昨夏に退団していたロヴィン・ヒメルマン(GK:34)を獲得した。
【ウニオン】ヨルベ・フェルテッセン(FW:23)が日曜に試合観戦、月曜朝にメディカルチェックを終え移籍間近と言われていたものの、『Dagblad』によると所属元🇳🇱PSVでノア・ラングが負傷したため、今回の移籍が破談になる可能性があるという。
【アウグスブルク】フレデリク・ヴィンター(DF:23)が🇵🇹エストリル・プライアに今季いっぱいまでレンタル。アウグスブルクとの契約は2025年まで締結されているものの、今季はドイツ杯1試合のみの出場にとどまっていた。
【デュッセルドルフ】ジョシュア・クアルシー(DF:19)を18ヶ月間、ホッフェンハイムよりレンタル。なお所属元との契約期間は2027年まで。更にカルチョ・コモから、マーロン・ #ムスタファ(FW:22)もレンタル。こちらには買取オプションが付随している。

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